interview point of view

【暑い夏15】C-1「チョンさん突撃インタビュー!(こいちゃん編)」

2015年07月9日

 2015年度暑い夏(京都国際ダンスワークショップフェスティバル)でドキュメント・スタッフをはじめて担当したあっちゃん&こいちゃんふたりでいきなりチョンさんにインタビュー!

 チョンさんはどうして私にインタビューなんですかと初めは、はてな顔。しかし、ガラ・パフォーマンスでチョンさんのダンスの大ファンになった私たちは、大真面目にガラ・パフォーマンスのこと、ダンスのこと、表現のことを直接聞かせてもらいたかったのです。ふたりでインタビューをしに行って、聞きたいことを聞いて、それぞれがビビっと感じた部分をまとめてみたらどんな記事が生まれるかな。そんな思いから誕生したインタビュー記事です。

<以下こいちゃんこと小泉朝未のインタビュー記事>

 ダンスってなんでしょう。わたしがずっとこのことを問うているのは、ダンスをやめられないから。京都の暑い夏に集まる人たちも、たぶんそれぞれに踊りに惹かれる理由があって、踊り続けているように思います。以下チョンさんが話してくれたことをダンスってなに?という視点からインタビューの言葉そのままに切り取ってみました。

 チョンさんの動きは大胆さとかアクロバット性より日常の動きから発想した振りが多い気がしますが、日常の動きと表現は何が違いますか? (講師にインタビューができるということで、私も力んでしまい、いきなり大学院での研究テーマを聞いてしまいした)

 「それはむずかしいですね。色んな基準がある。もしダンスが基準だったらやっぱり規則性、(腕を広げて見せて)これも表現ですね。表現だけでは踊りじゃない。たとえば私のワークショップ、音と音楽は違いますね。ノイジーと音楽は違いますね。規則性で動きを作って、それから踊りにするのが僕の作り方。」

 身体は踊りにどう関わってきますか?(クリエーションクラスの内容に関する話のなかででた話)

 「身体はいつも私と一緒じゃないですか、永遠に、生まれてから死ぬまで逃げることはできない。だから他のジャンル、たとえばピアノだったら練習しないでただ気持ちで弾く、建築だった自分の気持ちだけではできないですね。踊りはそうじゃないです。ただ踊りは一週間でも練習やって、なんか踊っても、ダンサーに見える、ああダンサーのような気持ち、いまからダンサーさんじゃないかなって早く一人で感じる。これがダンスの力、けどこれがダンスの悪い力、弱さ。すぐに表現とか、もし自分がほんとに集中してなんかやったら、何か感じる。もし建物を建てるなら、集中力だけでは無理ですね。でも振り付けも空間の中で自分の時間を使って、空間の中で自分の部屋を作るのと同じ。ほんとに振付家になりたいとかダンサーになりたいなら、ほかの難しいジャンルのように、建築家みたいに、ほんとに勉強が必要。」

 なぜ踊るのでしょう?(ビギナークラスを体験したあっちゃんの感想を共有しているときにでた話)

 「ダンスの素材は身体から。身体がある人は誰でもクリエーションできます。身体で今これがなんの気持ちか考えるから、ほかの芸術よりも、ダンスすることが一番クリエーションと近い。なぜクリエーションが必要か、クリエーションは自分の中を自分で見ることですね。踊りは今の瞬間自分の身体とか動きを見ながら、今の人生とか今の感情、なぜ今痛いかそれがわかる。踊ったら自然に自分のエゴ、自分の中の自分に簡単に会える。それが踊りの楽しさで、それが僕が踊る理由。社会の中で踊りの力があるならこれが踊りの力。」

 チョンさんは初対面のわたしたちに、踊る身体について、踊りと自己との関係について、チョンさんの理論を語ってくれました。何かがおいしいと思って食べること、この色が好きだからこの服を着ること。そういう「感覚すること」に意味があって、それは身体の経験だから一番大事だとチョンさんはいいます。ダンスの基礎にある身体をもっとも大切にしながら、感じるだけでなく洞察、鍛錬を怠らない。作品やクラスという完成されたものの根幹を垣間見させてもらった気がします。

続いてあっちゃん編へと続く・・・

撮影:溝口奈央
撮影:溝口奈央

1_JUNG YOUNG-DOOチョン・ヨンドゥ(韓国/ソウル)JUNG YOUNG-DOO

西洋的で高度なダンスメソッドと明確なコンセプ トを併せ持つと同時に、東洋的に抑制された繊細 な動きが彼の才能を裏付けている。Doo Dance Theater 主宰。韓国新進気鋭の振付家であり、韓国 を拠点に世界各地で活躍する。韓国でも多くの賞 に輝く他、「横浜ダンスコレクション・ソロ&デュオ コンペティション」にて、「横浜文化財団大賞」「駐日 フランス大使館特別賞」を受賞、フランス国立トゥ ルーズ振付センターにて研修する。’ 14 年は JCDN 国際ダンス・イン・レジデンス・エクスチェンジ・ プロジェクトにて福岡に滞在。現在、立教大学 現代 心理学部映像身体学科特任准教授。http://cp.rikkyo.ac.jp/support/prof/jung.html(KIDFホームページより)

DSCF2408小泉朝未(こいずみ・あさみ)

大学院で身体表現について哲学研究をしています。コンテンポラリーだけでなく、アフリカンダンス、即興で踊るのが好き。踊ること、表現すること、知覚することをどう言葉にできるか考えています。

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