京都の暑い夏 2012
第17回「京都国際ダンスワークショップフェスティバル」ドキュメント
The 17th Kyoto International Dance Workshop Festival : documents
「責任responsibility」という言葉には、なんと「応答する能力response-ability」が隠れている。
これは昨年、震災直後という状況で過去最多の参加者の思いが行き交った「京都国際ダンスワークショップフェスティバル」の、とある対話で共有された考えです。今年のフェスのテーマはそこから採用され、人間の成熟の試金石とつながるこの身体の可能性を、何に対してどう発揮してゆけるかといった問いを、呼吸したり動いたり踊ったり・・・様々な場面で思い出させてくれました。それはダンスを記録し編集するという行為においても同じでした。
昨年の編集後記で触れたように、そもそも過去7年にわたる「暑い夏」ドキュメントのやアフタートークの試みは、体験を与えてくれた人や場やダンスに対するフィードバックを、参加者の間で促すことに重きを置いてきました。それは、知覚の実験や探求の場としてのコンテンポラリー・ダンスの要請でもあるからです。こうして得られたレポートやインタビューが、受講生による講師やフェスティバルへの直接の”お返し”として、個人的な実感と結びついた得がたい質を備えているのはご覧のとおりです。一方で、それらが狭いダンスのコミュニティや同時代の敷居をこえた証言となるには、ダンスにとらわれずにドキュメントに参加してくれる人々の力、そして視点も大いに必要となってきます。動機や関心や立場の異なる参加者たちによる複眼的なダンスの記録によって、コンテンポラリー・ダンスの「同時代性」は、別の時代や地域と結びつく手がかりを得るのではとも考えるからです。
今年はのべ10人の個性豊かなボランティアが、講師インタビュー、体験レポート、映像ドキュメンタリーに取り組んでくれました。この時代にダンスにどのような関心が寄せられており、そもそもどういったものがダンスとして共有され、人々を惹きつけ、結びつけているのかを伝えるそれら証言が、まだダンスを知らない人や、あるいは遠い未来にダンスに出会う人への贈り物となることを願いつつ、ここに2012年の「暑い夏」ドキュメントをお届けします。
京都の暑い夏2012 / Hot Summer in Kyoto 第17回「京都国際ダンスワークショップフェスティバル」 The 17th Kyoto International Dance Workshop Festival 2011年4月13日(日)〜5月13日(日) http://www.hotsummerkyoto.com/idf/2012/ja/
レ ポ ー ト REPORTS
〈 D-2:ノアム・カルメリ(基礎編) 〉ワークショップレポート 「波の技法_clip note」(金谷麻美)
https://danceplusmag.com/b1/9604
〈 D-2:ノアム・カルメリ(基礎編) 〉ワークショップレポート 「ノアム・カルメリ コンタクト・インプロヴィゼーション基礎編」(下野優希)
https://danceplusmag.com/?p=9437
〈 D-2:ノアム・カルメリ(基礎編) 〉ワークショップレポート 「世界と接続する瞬間/自愛を持つ事」(地案絵里)
https://danceplusmag.com/?p=9577
〈 E:坂本公成+森裕子 〉ワークショップレポート 「触れるということ」(下野優希)
https://danceplusmag.com/?p=9343
〈 E:マタン・エシュカー 〉ワークショップレポート 「呼吸、空気感、その場」(下野優希)
https://danceplusmag.com/?p=9359
〈 E:エリック・ラムルー 〉ワークショップレポート 「大胆で繊細なパートナーとの出会い」(下野優希)
https://danceplusmag.com/?p=9364
〈 E:ノアム・カルメリ 〉ワークショップレポート 「自分の内側に触れる」(下野優希)
https://danceplusmag.com/?p=9366
〈 E:ディディエ・テロン 〉ワークショップレポート 「抑制から生まれるもの」(下野優希)
https://danceplusmag.com/?p=9385
〈 E:アリーヌ・ランドゥロー 〉ワークショップレポート 「知覚を広げて自分の周りで起こっていることを受け入れてみる」(下野優希)
https://danceplusmag.com/?p=9396
〈 E:森井 淳 〉ワークショップレポート 「振り付けで遊ぶ、楽しむことでダンスが生まれる」(下野優希)
https://danceplusmag.com/?p=9411
E:アビゲイル・イェーガー 〉ワークショップレポート 「リリース・・・体も心も」 (下野優希)
https://danceplusmag.com/?p=9417
イ ン タ ビ ュ ー INTERVIEWS
講師インタビュー vol. 23 アビゲイル・イェーガー ABIGAIL YAGER
聞き手:中山登美子 interview : Tomiko NAKAYAMA
翻訳・インタビュー構成・撮影:秋山義太郎 interpretation, reduction, photos : Yoshitaro AKIYAMA
https://danceplusmag.com/?p=9298 revised version in english
講師インタビュー vol. 24 ノアム・カルメリ NOAM KARMELI
聞き手、翻訳、インタビュー構成:小林三悠 interviewer, interpretor, composition : Miyu Kobayashi
撮影:秋山義太郎 photos : Yoshitaro AKIYAMA
https://danceplusmag.com/manage/c1/9553 〈
番外編 〉暑い夏参加者へのインタビュー vol.2(古後奈緒子)
https://danceplusmag.com/manage/?p=9629
ダ イ ア ロ ー グ DIALOGUES
アリーヌ・ランドゥロー × 合田有紀 ALINE RANDREAU × YUHKI GOHDA
映 像 VIDEO WORKS
C-3 (エリック・ラムルー ERIC LAMOUREUX) 【1/3】
C-3 (エリック・ラムルー ERIC LAMOUREUX) 【2/3】
C-3 (エリック・ラムルー ERIC LAMOUREUX) 【3/3】 8日目ショウイング showing
岡宏之(おか・ひろゆき) 1989年11月14日生まれ。大阪府出身。2012年近畿大学文芸学部芸術学科造形専攻卒業。学生のときインスタレーションなどの映像作品を制作し、映像の中の身体に興味を持ち、今回の京都の暑い夏にドキュメントスタッフとして参加。 福森ちえみ(ふくもり・ちえみ) 愛知県生まれ。高校で創作ダンスを始める。以降オーストラリアの、とdeakin大学への留学を経て、2011年創造芸術学部ダンス科卒業。現在ダンサーコレオグラファーと同時に、写真や、映像を用いたダンス作品の制作に多く関わる。2011年には奨学生としてオーストラリアからオランダへ留学。
公演制作プログラム ディディエ・テロン『HARAKIRI』ショウイング撮影 岡昌明(おか・まさあき) 期間中に風のように現れたスーパーガール、地案ちゃんつながりで来てくださった強力助っ人。おかげで『HARAKIRI』プロジェクトの出発点をプロの撮影で残すことができました。多謝。(編集部) 本石瑠(もといし・るり) 大学卒業後、ブライダル映像制作アルバイトを通じ映像に出会う。現在京都にて映像制作に携わる。ワークショップ他クラス受講が縁で、今回の撮影ボランティアに参加。趣味は音楽・舞踊鑑賞。目下、銭湯が癒し。
写 真 PHOTO WORKS