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【暑い夏12】「呼吸、空気感、その場」

2012年05月31日

E ビギナークラス Beginner class

コンテンポラリー・ダンスって何? どんなことするの? そんな疑問に応える、毎年大好評の通称「サラダ・ボール・プログラム」。ダンスに興味ある方へのイントロダクション・クラスです。世界で活躍する講師による様々なスタイル、考え方のダンスに触れることができます。



prof_matanマタン・エシュカー MATAN ESHKAR (イスラエル/テルアビブ)

ヨガ指導者。ニューヨークのDNA(Dance New Amsterdam)やNew York Yoga にて講師として活躍。現在はイスラエルで、インバル・ピントダンス・カンパニーや、バットシェバなどのプロフェッショナル・ダンサーへの指導を行っている。彼のヨガは古くからあるヨガの知恵を現代生活に適応する言語に置き換えた革新的で独創的なもので、ヨガ指導者のための指導も行い、アメリカ、ヨーロッパ、メキシコなど世界各地で指導を行っている。ダンスやスポーツでの負傷や再訓練、痛みのケアなどに特化したクリニックも行っている。昨年のフェスティバルでの指導が大きな支持を得、再来日。

 ビギナークラス2日目はマタン・エシュカーさんによるヨガ。

 昨年と今年もマタンさんのヨガを受けいていたので全く初めてというわけでなかったが、今回のビギナークラスで興味を持ったことがあった。

 それはマタンクラスの持つ「独特の空気感」。ただまったりとした中にも芯が通った清々しさがあり、気分がしだいに落ち着いてくる。

 なぜそう感じるのか疑問に思い、注目したのが『呼吸』だった。呼吸は感情との関わりが強いもので、私が芝居をする際に呼吸の操作で身体への働き掛けをして、感情に繋げていくことをしていたので、今回の空気感にもなにかしら関係があるのではないかと思った。例えば、しんどい時の浅くて早い呼吸と普段の楽な呼吸を思い出していただければ違いがわかると思う。  

 今回のヨガでは基本は胸郭の中心と仙骨の間を意識して呼吸を行っていた。これは芝居をやってきた経験に照らし合わせて、一番安定した状態と結びついた呼吸だと個人的に考えている。このマタンさんの指導により、この安定した呼吸法を行うことで、まずは参加者各々の呼吸と身体ひいては感情が整えられるだろう。それが大勢で行われたので、個別の呼吸がリンクして、全体でひとつの大きな呼吸をする感じになり、それが空間いっぱに広がる「独特の空気感」を生み出したのではないだろうか。  この独特の空気感が広がった空間は私にとって心地良く、リラックスし癒される場所となった。この時にドキュメントスタッフとして写真を撮ろうと思いカメラのファインダーを覗いたが、シャッターが切れないほど、私にとって、その空気は清澄で犯しがたいものがあった。  

 マタンさんのクラスでこのような経験をしたので、私は次のようなことを考えている。呼吸により癒しを感じさせる空気感を生むことはできないだろうか。その空気感が広がり癒しの場が生まれれば、その場に居合わせて呼吸をすることで更に癒されるのではないだろうか。それは理想かもしれないが、自らの意志で自らの手で「癒し」得る可能性を手にした気がしている。

 少し難しく考えていたが、シンプルに「笑う門には福来たる」・・・笑っている時の呼吸を思い出すと納得出来る気がした。

(2012年4月28日参加)

下野優希(しもの・ゆうき)

2008年劇研アクターズラボ、公演クラスに参加し初舞台を踏む。その後「アクターズラボ+正直者の会」に参加し3作品に出演。その間、体からの演技に興味を持ち、2010年より京都の暑い夏事務局主催の定期コンタクト・レッスン受講中、その他に京都国際ダンスワークショップフェスティバル、CIMJを受講。現在は「正直者の会.lab」の企画に参加中。

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