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【暑い夏11】翻訳日記
2011年05月29日
A-2 アリーヌ・ランドゥロー 身体への意識を高めることで、自分自身が望む動きへと身体を近づけていきます。即興的なムーブメントと、振付けられたムーブメントの間を行き来するワークを行います。自分自身の動きと、他者の動きを往還すること。そうする中で自己と他者への意識を高め、重心、空間、そして内なる音楽性への意識を発展させていきます。 (編集注:東日本大震災のため来日を中止したレスコプ氏の代講を、ランドゥロー氏が務めました。経緯は、事務局のウェブサイトをご覧ください。)
ALINE LANDREAU アリーヌ・ランドゥロー (フランス/アンジェ) 大学にて哲学を専攻した後、アンジェ国立振付センター・コンセルヴァトワール(CNDC)に入学。以降、同センター芸術監督エマニュエル・ユインの作品や、ロイック・テュゼ、ヴィンセント・デュポンの作品をヨーロッパ、フランス各地で踊る。’06年『Monster Project』を通じて、坂本公成+Monochrome Circusとのコラボレーションを開始、日仏で作られた2作品に出演。2009年にはCNDCの「振付家養成コースEssais」に進み、「知覚のプロセスを探求する」という考えの元に、コレオグラフィーについての探求を進めるとともに、エクスペリメンタル・ミュージック、舞台美術、パフォーマンス、インスタレーションやヴィデオなどとの様々なコラボレーションを展開した。一方で、この数年は、ポストモダンダンスの与えた財産や身体技法、そして即興的な文脈に対する感心に則りダンス指導にも携わってきた。新進振付家による共同体”Météors” での創作活動に従事している。
この日記は2011年京都の暑い夏、アリーヌランドゥローのクラスを受講した金谷麻美によるワークショップの体験日記です。
1日目 4月29日(金)
ワークショップ一日目。 アリーヌがやってきた。急遽、代替講師として日本にやってきてくれたアリーヌ先生。どんな気持ちで日本にきたの?ワークショップ開始。言葉は英語。聞き取れる単語でつなぎつなぎ。「comfortable(快適な、居心地がよい)」という言葉が出た。身体、そして空間にも。好きな単語。ほっとする。 「まず、身体に触れてみましょう。」 くまなく、隅々まで触れてみる。触ると気持ちいいと思う。気持ちいい感覚から、繊細になること、皮膚に意識。そのまま感覚は自分の触れている面、床に移行。床に身体を添わせる。つまりそれは、身体は地面という面に触れた状態になるということ。触れていることに、意識。触れている面への、意識。動くことで自分の触れている面の分量は変化する。床がひんやりしているからか、雨上がりの水たまりのことが浮かぶ。その水たまりが大きくなったり、小さくなったりするイメージ。最後は二人一組になる。一人は今日のワークショップを10分間のダイジェストにする。そしてもう一人は witness(目撃者) になる。この二時間自分たちが何をしていたのか、見る。何だか推理ドラマの回想シーンみたい。終了後、ディスカッション。自分たちが一体何をしているのか、していたのか考える。アリーヌは見たかったものが見られたと言っていたけれど、それは何だったんだろう。明日から分かっていくのだろうか。
2日目 4月30日(土)
ワークショップ二日目。 「まず、書いてみます」。はて?書く?どうやら紙に言葉を書くみたい。思い浮かんだ言葉、文章、自由に。「たまご」と思い浮かんだのでたまごと書いた。しかしながら「yesterday」。どうやら昨日のことを書くみたい。どうしよう、たまごは。水たまりを思い出したので水たまりと書いたそのままつらつらと書く。書いた紙は折り畳んで、各自しまう。まず、円になって足のマッサージ。足のうらも色々触って、踵を手で包んで動かしたり、普段稼動してない動きに触れる。そのあとは横になって目を閉じて、重心で左右にゆっくり動くワーク。ここからしばらく目を閉じるワークが続くが、よく分からなくて目を開けてしまう。目を開けるとアリーヌ以外目を閉じている。なんだこの罪悪感。カンニングか。目をつぶるワークが続くので不安になってくる。そう思っていると、今度は二人一組になるというほっとする、が目は閉じるらしい。一人が目をつぶり、一人がナビゲートして色んなところへ案内する。最初は案内する方。慎重に慎重に。どこ行きたいですか?どこに行きましょうか?身体で聴く。そうすると、自然と自分の動きが出来てくる。交代。目をとじて歩く。目を閉じて、外に出る。場所が変わると、頬にあたる風の分量が劇的に変わる。光の分量も、どっと増えるのが分かる。光の粒が直接まぶたに落ちてくるみたい。あったかい光の粒。意外と地面のことは分かる。地面は、続いているから探せば見つかる。それよりも、ナビゲートで手で触れるもの、触れるまで、そこに何があるのか分からない。触れることで、物体が出現する驚き。何が起こるか分からないけれど、相手に預ける。それが安全だと感じる。分からないから、自分の感覚を澄ませていくしかない。最後にもう一度紙に今日あったこと書く。ツラツラとかいて、最後に「冒険」と書いた。
3日目 5月1日(日)
三日目。 今日は最初から二人一組のペア。一人が寝そべってもう一人が頭のマッサージ。わたしは最初寝そべる人。寝ている人は目を閉じる、頭の重さを預ける。気持ちよすぎて、途中気を失う。あーあ。確か自分で動かすんじゃなくて、頭の中心を感じて重力を感じてオートマティックに頭を動かすようなワークなのだ。違う? 交代。今度はゆっくりゆっくり頭を触って、動かす。寝ている人の呼吸を感じながら息を合わせる感じで触る。静かな呼吸を見ると安らぐ。猫みたいだ。それから、さっき意識した頭の中心から、動くようにする。「動かす」ではなくあくまで「動く」ように。まずは顔面をyes , no , と首を縦横、左右に振る。そして歩く。不思議。あくまで動かすのではなく、内側から揺らぐ。見た目にも、普通に頷いて歩いているように見えて、何かが違うけれど、何かはよく分からない。5分ほど時間をとり、今日も今日あったことをメモする。この「書く」ということが何となくキーワードな気がするのだけれど、この「書く」という行為をどのようにアリーヌはとらえているのだろう。謎は深まるばかり。今日もダイジェストとwitness(目撃者)のペアになり、この三日間でおこなったことの感覚から一つを取り出して、相手に伝えるというデゥオをする。わたしは今日の終盤で行った、フリースペースという空間から一つの場所(ポイント)を決め、目を閉じてそのポイントと踊るワークの時に得た感覚を再現することにした。「ただ一つの場所、音が響くのでそこは空間である」というメモをたよりに再現しながら、今という時間と場所である事を再現する為にはリメイクする必要性がある、と自分の内側から身体で思った。終わってからまた今日もみんなでディスカッション。同じ体験なのに差異を感じる。身体の数だけ体験があるということ。
4日目 5月3日(火)
四日目。昨日はおやすみだった。今日の最初は三人組。ずっこけ三人組。 股関節を緩めるワーク。一人が寝そべり、一人が寝ている人の足を持って股関節を緩めるワークをし、もぅ一人がワークをしている人の後ろについて(shadow(影)になると言っていた)その人の背骨、呼吸を感じて手をそえてケアをする。ゆっくり足を持ち上げ、ゆっくりまわす。しばらく足の重さを重力にまかし、何もしない時間もポイント。大切だと言っていた。ワークをする人は呼吸を大切に。影の人はワークする人の呼吸を読みながらその後ろにも影がいるように呼吸をする。呼吸をすることで、一人、二人、三人、影、影、と繋がっている。その後各自寝転がりながら、仙骨から動くワーク。仙骨っちゅうんわ背骨の下のほう、お尻をのぼって、ぼこっと出てる恐竜の骨みたいなところだよ。その仙骨(センター)に時計がついているイメージをする。頭の方向を12時、右が3時、下が6時、左が9時。そんで、その時計の中心から動く。もとい微かに揺れる。仙骨に時計があるのか、そういえば「黒い時計の旅」という本を買ったまま読みそびれていたな。この4日間の共通点。身体のある部位から、そこを緩めることで、繊細に身体の感覚を開くことから、動くこと(ムーブメント)に繋がる。最初は何でマッサージばかりなんだろうと思っていたけれど、アリーヌのワークは丁寧に丁寧に少しづつ、無理をしないで感覚を自然に開かせていることに気がつく。最後は「鳥の群れ」のワーク。参加者全員で一つの共同体,一つの身体を作る。先頭の人が群れをひきいて動く、みんなはその人のマネをする。群れの向きが変われば向いた方角の先頭の人が群れのリーダーになる。おもしろくて気がつけばもぅ18時になっていた。今日はとても時間が経つのがはやかったなぁ。
5日目 5月4日(水)
五日目。今日の最初は四人組。にんにん。一人が目を閉じて寝そべり、三人がケアをする。最初は静かに触れるところから、徐々に皮膚に色んな刺激を与えてあげられるように、感覚を与える人も手以外の部位,全身を使いながらウォームアップしていけるように。三人で協力する。 「目を閉じている人は色んな感覚を受け入れられるように、でも嫌なことは受け入れる必要はない。そうゆう時は相手に伝えてください。」 マッサージしているところから徐々に転がしたり座らせたり、動きを与えていく。次は視線のダンス。まずみんなで円になり、指を一本立てる。その指を見ながら、自分の指の前にいる人に、視線を移す。指、人、指、フォーカスする、焦点を変える。手を動かして、どこまでが手が見える範囲なのか、自分の視界を確かめる。そのまま手を動かし続ける。手を見る。手が新しい視界を案内してくれるように、その手に導かれながら動く。「見えているものを受け入れる。(welcome)」ということをアリーヌはよく言っている。いつもくる場所。通い慣れた場所でも視点が違えば、体感が違えば、普段の生活では見慣れない視界に出会う。そんなダンスの視界。徐々に顔見知りになってきた人と、そんなダンスの視界で出会う。それは必ずしもいつも快適(comfortable)というわけではない。慣れない目の動きには疲れるし、まだしゃべったことがない人とそんな状況でパッと出会うと緊張するから、ついついダンスをしているふりの目をしてしまう。natural(自然)な目。夢中になる、とゆうことはある意味、見たいものしかみないということだ。今、どんな目で何をみてるのか、ということにたまに意識を戻してみる。人の目もみる。生活の中で出会う、あの人の目が好きだ。出来ればダンスしている時、そんな目をちゃんと思い出したい。今日は最後に、昨日の鳥の群れのワークをする。共同体としてのムーブメント。方向性から生み出されるその動きの固まり自体が、ひとつの生き物のように見える。ワークショップのあと、個人的に気になっていとことをアリーヌに聞いてみた。 ①今の日本に来るということ、ワークとの繋がりについて。 ②「書く」ということについて。 ひとつ目について。ワークを通して行っている、触ること、共同体としての意識(ムーブメント)。それは人々の感情をシェアし、ケアすることに繋がるのではという話を聴く。 ふたつ目、書くことについての話は「food(食べ物)」という言葉が出てきたのが印象的だった。私たちは言葉で考える。ダンス、動きのような言葉を介さないものも、その感覚を言葉に置き換えて一度身体に取込むこと(書くこと)でその感覚を一つ一つ取り出すことが可能になるのではないだろうかという話。ざっくりやけど。最後にcomfortableという言葉がわたしはとても好きだと伝える。「It is important.」とアリーヌは笑っていた。
6日目 5月5日(木)
ワークショップ六日目。今日はゆるやかにお話から。 ワークを通して感じたことをみんなで話あう。印象的だった話。 ・東京で地震にあった人の三半規管の話。 地面はこんなにゆれるんだと驚いた。以来三半規管(内耳にある平衡感覚を司る部分)が少しの刺激で反応するようになった。ちょっとした揺れ、刺激に反応するから、人に触れる、触れられることも最初は惑いがあった。ある状況に出会うと、その状況にあわせて体感も変わる。どこまで環境を受け入れることが出来るのか、体感の許容をワークを通して考えた。 ・受け入れる幅が大きい人ほど色んな動きができるのではないかという話。 アリーヌのワークの中では体感や状況を受け入れる、受けて、その反応からムーブメントを生み出すということをよくしている。100の刺激に対し、100の反応がかえせるということは100の動きが出来る。そんな風に感じた、という話。 まだまだ話せそうだけれど、ひとまず打ち切り。今日のワークへ。今日は五人組。四人の真ん中に一人立つ。真ん中の人は自分の中心、軸をまわりの四人に預ける。まわりの四人はその人が倒れないように補佐しながら、その人を動かす。真ん中の人は`おきあがりこぼし状態`。怖がりなわたしは転ろばないように自立してしまい、体重がうまく預けられない。まわりの人にはお見通し。アドバイスを受ける。「信じたい!でも転んだらこわいんだよーーー!」 いう心の叫び(実際もこわいーっと言っている)。そんな中、脳内に住む小さいおっさんが出てきた。「このばかたれがぁ!信じろぉ~」と言っている。頭で思っても、実際身体で信じることは難しいんだよ、おっさん。そのあとは一人の状態で、ワークのときの体感をフリースペース全体を使って体現。みんなが斜めになりながら、突っ走っていく。
7日目 5月6日(金)
ワークショップ七日目。 今日は二人組から。一人が寝そべり、もぅ一人がその上にぴたりと合わさるようにかぶさる。人のおふとん。最初わたしは上にかぶさる人。人の上、柔らかくてぐんにゃりしている。気持ちいい。わたしが組んだのは女性だったから、また男の人だと随分印象が違うのだろうなぁ。最初はぴたりと重なった状態から徐々に下の人はずれて、抜け出てゆく。砂浜の波の感触。自分のいる位置は変わらないはずなのに地面がゆっくりと動いていく、あの不思議な感覚。浅瀬で寝転びながら退屈に空を見る、砂のけだるさ。その人ががゆれると、わたしもたぷんっとゆれる人の身体が水で出来ていることを思い出す。もぅ一度。次は下の人がもぅ少し動くこと、運ぶことをしてみる。下の人が、ずるっ ぺたっ と動くと、わたしも上でずるっ ぺたっと動く。ずるっ ぺたっ ずるっ ぺたっ。 今度は何だかそうゆう生き物のような気がしてくる。 交代。次はわたしが下になる人。残念ながらうまく出来なくてつぶれる。ぺっしゃん。「のぁー!」っと気合いで声を出すがあまり意味がない。つぶれたままぼんやりする。このままでもいいじゃないかと思ってぼんやりする。見かねたアリーヌからアドバイスを受ける。ちょっと動いた!ほっとしてちょっとぼんやりする。その後みんなで寝転んで気持ちよく声を出すワークをし(こうゆうのは得意だ)、本日最後のワークの説明を受けるが、その前に、アリーヌがある前提の話をし、みんなで話すことになる。 「この七日間行ってきたことがこの場にあります。それがある上で今からワークをおこなうので突発的なこと(危険)はおこらないでしょう。何か今までのことで話したいことはありますか。」 「暴力がおこらない、とは言えないんじゃないですか。」 と一人の受講生から意見が出た。ここから話す話はわたしの解釈と、二人の間、そして全体に言語のずれ(日本語と英語)もあることも、ちょっとふまえてください。 暴力と信頼と環境の話。 アリーヌは今までのワークを通して、場(環境)を受け入れること、その上で相手を信頼して身体を預けることを行ってきたと思う。そして7日間かけて受講生は全体で一つの関係性を作り上げてきた。その上で全体を見て、情緒的な点においても皆とても平均的だと思うからそうゆうことは起こらないと思うと答えた。しかし受講生から出た「暴力」という言葉には、ほんとの意味でいつ何がおこるのかは分からないという意味が含まれている。いつ、何が起こりうるのかは誰にも分からない。それはある、その人の信頼を覆すということ。そうゆう点において、暴力が起こらないとは誰にも言えないことである。 アリーヌは昨日自分と話したことをみんなにも話して欲しいと一人の女性に言った。東京から来た女性の話。最初、人に触れられることに対して以前より敏感になっている自分がいた(5/5三半規管の話参照)。ちょっと触れただけなのにビクッとする自分がいた。触れること、触れられること。環境を受け入れるということに対して、まず以前と違う自分を受け入れる作業がいった。彼女はそんな話をポツポツと話した。 「環境に対して、信頼すること。相手を信頼することをやってきました。ここではこのダンスワークにおける前提の話をしています。そろそろ続きのワークの話をしましょう」 本日最後のワーク。まずこのフリースペースの床、そこにはいままでやってきたことがある、書かれていると考える。テキストのプール。その床の上で二日目にやったオートマティックライティング(自動筆記)を身体で試してみる。即興でその時感じたこと書き出すように、各々が踊る。プールの中には常に八人のダンサーがいる状態。プールのまわりにいる人は手を叩いたり声をだしたり、場の環境をつくる音を提供する。30分ほどの長い即興。一人一人のイメージがテキストのプールで入れ替わり立ち代わり踊る。場、空間を描くということ。混沌。混ざり合う、見えないテキスト。
8日目 5月7日(土)
今日は八日目。アリーヌがいる最後のワーク。ワークショップは明日もあるけれど、9日マルセイユで本番があるアリーヌは今日で最後。いちおう明日することを置き土産してくれるらしい。 今日は二人組から。今日は寝そべらない、立ったままの状態から。一人が軸の中心で立ち。もぅ一人が触れることで相手の身体をほぐしていく。次は双子のワーク。二人組でまずは見つめ合うところから。徐々に連動してお互いが同じように動けるようにする。手を伸ばすと、相手も手を伸ばす。鏡のよう。どう動くのか、どちらから動くのか計る時間。ここまで人の目を見ることもなかなかないな。じーっと見ていると目が乾く。たまに惑ってお互い笑ってしまう。徐々に動けるようになると、目を合わさないでも動けるようになってくる。関係の中で、動きのリズム、相手の呼吸が分かってくる。そうなると、ほんとに双子みたいな気持ちになる。「次はあっちに走ろうか」「うんうん」実際にはしゃべっていないのだけれど、そんな感じ。まわりをみると双子だらけになっている。不思議な光景。最後は目をつぶり,輪になる。指から伝わる隣の人の情報をセンサーのように感知にして、隣の人の動きから伝わるリズムで動く。ゆらめく。目をつぶっているので自分たちがどんな風に動いているのかは分からなかったのだけれど、とてもキレイだったと見ていた人は言っていた。終わった後、今日でお別れになるので、アリーヌに思ったことを伝えようとする。が、はたしてちゃんとしゃべれていたかしら。 「三月に、日本ではとても大きな問題が起こりました。その時、たくさんの情報が溢れたのだけれど、実感が欲しい、それが必要だと切実に思いました。体を通して発せられた言葉、切実な言葉がちゃんと届いて欲しいし、届く体でいたいと思う。身体を通して考えることと社会について考えることは繋がっているし、繋げたいこと。あと、やっぱりアリーヌの言うcomfortableという言葉、わたしはとても好きです。」
9日目 5月8日(日)
京都名物「八つ橋」を置き土産に、チャームポイントの巻き毛をゆらしながら、アリーヌはにこにこと帰ってゆきました。色んな味の八つ橋があるのですね。今日はアリーヌのいないワークショップ。今日は立ったまま二人組で交代で触って体を触ってほぐす、一人が目を閉じてもう一人が案内するガイドのワーク、群れのワークをする。 以前やったワークということもあるけれど、全体には9日間いっしょにワークをしてきたという関係性があるので暗黙の了解のようにサクサクっとワークは進む。その上でちょっと進展させて付け加えたり確かめ合うが、そのままさらりと終わり、皆それぞれ頷きながら、それぞれの場所に帰っていく感じがしました。 わたしは今年、「京都の暑い夏」にはじめて参加したのだけれど、講師はもちろんのこと、受講生も各地から、様々な境遇でやってきている。ダンスをずっと続けているという人はもちろん、普段は会社員だけれどある時ふと身体と向かい合いたいと思って、という人もいる。身体の数だけ、その人と身体との付き合い方がある。そしてそこにはその人の身体が描く、立ち上るイメージのようなものがあって(それを気配や雰囲気とも言うのかもしれないが)それを見ると人間はおもしろいんだなぁと思う。いっしょに踊ること、いっしょに時間を過ごすことで、人はあるイメージを共有したり、交換したりすることができる。けれどそうゆう体験は日常の中ではどんどんと希有になってきているような気もする。ほんとうの意味で、その人が見ているものを見ることは出来ない。けれど、見つめようと目をこらしたり、手をのばしたり、寄り添ったりすることは出来ると思う。そしてそれはとてもおもしろいことだ。
(2011年4月29日〜5月8日 参加)
金谷麻美 京都在住。遅筆を克服する為、高校生の時から日記を付け始めるがはじめるが未だ遅筆。イメージと思考を行ったり来たり(つまり夢見がちに)暮らしているうちに身体がおいてけぼりになりはじめ、よく転ぶようになったのでダンスを始める。近年なおざりになっていた日記を再開すべくドキュメントを希望。
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