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【暑い夏17】1年で1番の笑顔があふれるワークショップ
2017年08月2日
ビギナークラス 4月30日/カティア・ムストネン
毎年参加させて頂いている「京都の暑い夏」。今年で22年目を迎えるそうです。私は2007年くらいからの参加ですから、約半分をご一緒させて頂いたことになります。さまざまなダンサーのみなさんに紛れて参加することは、自分自身にとって大きな学びと発見の場であるとともに、いつも“不安”と向き合うことでもあります。え?不安なのに参加するのかって・・・?はい、不安は常にあります。でも、それは“最初だけ”。今回のカティアさんのクラスも、そんな時間になりました。
ビギナークラスの会場となる京都芸術センターのフリースペース。1年ぶりに扉を開けると、そこにはすでに4月28日からスタートしているフェスティバル独特の活気と熱気が流れています・・・第1の不安ゲートがコレ。通しで参加される方が多いこのフェスティバルで、単発での参加はやはり勇気が必要かも知れません。勢いよくまわっている大縄跳びに「さあ、どうやって飛び込もうか」と腕まくりをするような気分です。いつもこの場面で味わうのは、そんな気持ちを顔には出さないようにして「はい、私もずっとここにいましたよー」という雰囲気でストレッチのまねごとを始めるドキドキなスリル。でも、場に流れている空気がとてもオープンなので、誰が何をしているとかジロジロ見られることはありません。緊張しているのは本人だけなので、ストレッチを始めて5分もすれば、その場に何となくいられるようになっていくので不思議です。
開始時刻になって、講師のカティア・ムストネンさんがフロアに。場には馴染んできたものの、ここで私は第2の不安ゲートに立ち尽くしています。「・・・みんなのペースについていけるだろうか。自分の身体でついていけるだろうか。」という不安です。日ごろ、ラジオ体操くらいしか体を動かしていない私にとって、ダンスのワークショップに参加するというのは、やや無謀なことかも知れません(・・・ならばもっと運動しようよと、毎年思う)。でも、このフェスティバルに参加するようになってわかったのは、“先ずは自分自身の身体と向き合うことからはじまり、その向き合い方を含めて学びの場がある”ということ。さらに身体は個々に違うということを前提にしているため、“それぞれの向き合い方を模索する奥深さがある”ということでした。ビギナークラスでは無理なく動いて、気づけばダンスにふれているというクラスばかりで、ダンスとして目にする動きを習得するのはごく一部。ですから、私のような人間も不安は感じるけれど、その先の発見を希望の光として(大げさ)参加しているのだと思います。
「今日は、まずスローに動いていきましょう。」カティアさんのこの言葉からクラスはスタート。私はこの言葉に安堵したのか、その後のワークにはリラックスしながら取り組むことが出来ました。ワークそのものも無理なく自分の身体の状態と向き合い、誰かの存在が楽しくなるようなワークが続きます。…ここで白状しようと思うのですが、私は本当にこのクラスが楽しくて、途中からの記憶が飛んでしまっています。ワーク後に残したメモも断片的で、細かいことは思い出せない。こうした状態ではレポートにならないと悩みましたが、これも1つの体験かも知れないと書き残すことにしました。よって、ワークのプログラム内容をきちんとお伝えすることは出来ないのですが、下記のようなワークは思い出すことが出来ましたので、メモとして書き起こします。
=2人ペアになって、1人は仰向けになって頭の重さを相手に預け、もう1人は開脚してフロアに座って相手の頭を両手で受け止めるように支える。先ずは仰向けになっている人は100%重さを相手に預ける状態を確認、そこから少しづつ頭を動かしていき、どこまで動かすと身体全体が伴って動いていくかを探る。・・・最初は相手に100%預けきることがなかなか出来ず、ずっと首の緊張を感じる状態でしたが、相手の方の手のひらの温かさやホールド感が心地よくなって出来るように。頭と身体全体が別々に動いていることが日ごろ多いのか、首だけが動いてしまうというのも発見でした。
=ホールにみんなで散らばった動き。自分で「あの人」という人物を心の中で決めて、なるべく近づいたり遠ざかるようにしたりする。すると参加者全体が生き物のように動きの有機体のように。「あの人」という存在を2人にしたり、1人とは近づきたいけど1人は遠ざかりたいと感じながら動いたり。団子状にみんなが中央に集まってぎゅうぎゅうになったり、大きな対流となったり・・・私にはどうしてこうなるのかがわからなかったので、ほとんど魔法のようで楽しくてどんどん笑顔になっていきました。動く=何かが起こる=予想を超えた動きで心が弾む・・・こんなことを体験していたのだと思います。
クラスが終わって、不安だと思っていた自分は「あれ?どこいった?」という状態に。ゆっくり自分を見つめ、そこから動きはじめ、動くことで予想外の楽しさに出会う…というのが今回のカティアさんのクラスでした。コレ、日常で起きたらすごいでしょうね。何か自分がアクションを起こしたら何かみんなが笑顔のなるようなことが生まれる…あったらいいな。せっかくだし、そうしたい。うん、ぜひそうしなくっちゃ!
亀田恵子
大阪府出身。工業デザインやビジュアルデザインの基礎を学び、愛知県内の企業に就職。2005年、日本ダンス評論賞で第1席を受賞したことをきっかけにダンス、アートに関する評論活動をスタート。2007年に京都造形芸術大学の鑑賞者研究プロジェクトに参加(現在の活動母体であるArts&Theatre→Literacyの活動理念はこのプロジェクト参加に起因)。会社員を続けながら、アートやダンスを社会とリンクしたいと模索する日々。
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