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【暑い夏16】他者の視点で追体験する4
2016年10月4日
<言葉やイメージが身体に与えてくれるもの>
名古屋市出身で、今は兵庫県西宮市在住のayaさん。普段はクラシック・バレエの指導 を生業としているかたわら、ダンススタジオのメンバーでコンテンポラリーダンスの作品 を創ってパフォーマンスもしているそうです。 フェスティバルへの参加は10年以上前か ら。受けられる年は受け、特にアビーのクラスは受講し続けているということです。
ayaさんとダンスとの出会いは小学1年生の時。親の勧めで見学に行ったバレエ教室で、 レオタードを着せられてレッスンを受けたらまんまとのせられてしまった、と語ってくれ ましたが、もともと身体を動かすことが好きだったことや、 父親がジャズ好き、母親がピ アノと、 音楽 に囲まれた 環境で育ったことも強く影響したようです。中学に上がってから もクラッシク・バレエを続けながら、器械体操部に入部、かたや流行っていたマイケル・ ジャクソンの「Black or White」のPVがかっこいいと思う中学生だったそうです。高校で 入ったダンス部では伝統の踊りや独自のメソッドがあり、文化祭や高校生のダンスフェス ティバルで自分たちで創った振付やテーマを踊るなど、 ダンスを自ら 創る環境があったそ うです。
大学に入るまでは同じバレエ教室に通い、コンクールに出るなどしてクラシック・バレ エも続けていたそうですが、クラシック・バレエの世界はバレエ至上主義と言われるよう に厳しく、 まずバレエ向きの身体というものがあり、バレエを体現できる身体を造らなけ れば認められないのだ そうです。自由に踊る傍ら クラシック・バレエの厳しい世界でも踊 り続けてきたayaさん。そんな頃に出会ったのが 、ウィリアム・ フォーサイスや、ジョー ジ・バランシンの作品。フォーサイスはベースがバレエでも発想がバレエと違い、現在の コンテンポラリー・ダンスの歴史を 創った 1人。バランシンは、クラシック・バレエとモ ダン・バレエの橋渡しをした人物としてバレエの歴史に名を残しています。出会うべくし て出会った彼らの作品に「これがしたい!!」と衝撃を受けます。そうして進学した大学 では、バレエの歴史的な背景を学ぶためにフランス文化コースを専攻。熱心に語る彼女か らは、まさに「バレエと共に人生を歩んできた」という印象を受けました。
インタビューした日はフェスティバルの最終日でした。アビーのクラスとフランチェス コのクラスを受けていたayaさんは、どちらのクラスも、基礎に立ち戻って、積み重ねて きたものをあらためて見直す機会になったようです。そもそもayaさんが初めてアビーの クラスを受けた時、それまで浅いと言われ続けていたプリエが、アビーの導きによって出 来るようになったのだそうです。プリエとは「曲げる」という意味ですが、アビーの言 う、上からのつり上げと下へのウエイトをイメージするようになってから、見た目を曲げ るだけのものから、深いプリエが出来るようになったそうです。今年のアビーのクラスで は、「ウエイトをちゃんと使えば動きはその方向に向かってくれる」「身体のどこかが抵 抗しているから動きの流れが滞ってしまう」など、振付やコンビネーションを覚えること に頭を使い、形だけをなぞってしまう身体にアプローチする、さまざまなイメージを与え てくれる言葉があり「どこから動きが起こってくるか」を教えてもらった感じだと言って いました。
今後のことを伺うと、「指導する立場になってみて思うことは、いままでフェスティバ ルで学んだ発想や、10代の時に知っていればもっと自由に動けたのに、ということを、若 い人と共有していきたい。」、また「自分自身が踊るときも、ここで得た発想を大切にし て、次に繋げていきたい。」と語ってくれました。
<おわりに>
4人の方にインタビューをしてみて気づいたことは、それぞれダンスを続けている動機 は、当たり前のことですが単純に「踊ることが好き」だということ。他者の歴史を知り、 別の発想や視点を知ることで、 靄がかかった視界が、ぱあっと開けていくように感じまし た。もっといろんな人の歴史に触れてみたい、 もっともっとダンスの歴史や作品のことも 知りたいと思いました。 インタビューしながら、「基本に還って再確認すること」「自分 自身の身体や踊りに、新しい風を吹き込ませていくこと」などの言葉が、フェスティバル のテーマである“再構築-Reconstruction”に通じる一本の軸のように感じました。フェス ティバルに参加するようになって、いろいろな刺激を受けますが、今回のインタビュー は、自分自身の生き方や、踊れないながらも踊り続けることへの動機づけにもなったよう に思います。本当にありがとうございました。
アビゲイル・イェーガー (U.S.A/NorthCarolina)ABIGAIL YAGER アビゲイル・イェーガー (U.S.A/North Carolina)ABIGAIL YAGER ア ビーの小柄で知的な雰囲気とウィットに富んだムーヴメントは誰もが魅了される。’95 –’02年トリシャ・ブラウン・ダンスカンパニーにてダンサーと音楽アシスタントを務める。また、トリシャ作品の振付・再構成をリヨン・オペラ・バレエな どの国際的なカンパニーで務める他、アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケルの主宰するP.A.R.T.S.(ベルギー)や、アメリカンダンスフェスティバ ルなど、名だたるアカデミーで同様のプロジェクトをディレクションしてきた。また韓国国立芸術大学、フランス国立振付センター(CCN)での指導など、 ワールドワイドに活躍している。現在ノースキャロライナ芸術大学(UNCSA)で教鞭をとる。
菱 川 裕子(ひしかわ・ゆうこ)大阪府出身。ダンスは踊れません。「京都国際ダンスワークショップフェスティバル」 に参加するようになったきっかけは、Monochrome Circusのワークショップ「Dance in building」に、ダンス経験者でなくても参加できますということで飛び込んだのが始まり。 踊れやしないのですが踊りたいので、最近はコンテンポラリーダンスやバレエ、ヨガなど の教室に通って地味に頑張っています。踊っている人を観るのが好きです。
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