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【暑い夏15】 E「 Catch the wave 」

2015年07月9日

撮影:すやまあつし
撮影:すやまあつし

 
 波乗りにすごく似ている。
このコンタクト・インプロビゼーションという世界は。

 
 まだはじめたばかりで、断言なんてできないのだけれど。
サーフィンは、波の力に合わせて、それを推進力に共に進む。
波の形やタイミングによって、動きを変化させたり。
周りの一瞬一瞬の風景を楽しんだり。
終わったあとは、仲間といろいろシェアしあって、笑いあえる。
そして、「自由」を感じることができる。

 ノアム・カルメリ。
彼を見たとき、サーファーみたいだなと思った。
彼の動きは、すごく自由でたくましい。
そして、時々やんちゃなことをして、とびきりの笑顔になる。

 
 見学させてもらったD-2コンタクト・インプロヴィゼーションクラスで言っていた
「Catch the wave」。
この意味が今はよく分かる。
相手の力に抗うことなく、流れを感じて
後でも先でもない「今」を感じて、波に乗る。
これは多分コンタクト・ポイント(自分と相手の体が接する部分)
のことを言っているだけでなく、
「場」全体としても同じことなのだと思う。
会場内には見えない波が発生していて
お互いが影響し合っているように思う。
その波に対して、個人個人がうまく共有できたときに
非常に美しい瞬間が生まれていた。

 
 これは波を取り合うのではなく、波をシェアするという
サーフィンのスピリットにも通ずる。

 
 参加したビギナークラスでは、いろいろなイメージを持って動いた。
会場内は海の水で満たされ、ワカメになった僕たちは、魚にかじられたり、
台風の荒波にもみくちゃにされたり。
そして、そうやって想像を働かせながら動いていくうちに
体がどんどん動きたいと声を発していく。
その自由さがすごく楽しくて夢中になってしまい、
結果、ぼくは壁にぶつかったり、人にぶつかったりと
大失態をやらかしてしまった。
「やってしまった。」感がどうしても拭うことができず、
最後の方は不完全燃焼の状態になってしまった。

 
 そのことをアフタートークでシェアしたとき
ノアムがこんなことを言ってくれた。

 
 >まず「自分自身を自由にする」ということは、とても大事なことで
>特にビギナークラスは、チャレンジするという目的だから、とてもいいことだと思うよ。
>自分自身に出会う、そして表現するというのが基準だから。
>でも、それと同時に「バランスをとる」というのも大切な目的で
>周りの人たちとどのような関係性をもつか、どうやっていい関係性をもつかと
>考えることも重要だね。
>いい関係性をもつためには、まずは「自分自身を自由にする」ということが大切なんだ。
>そして、最小限のルールで、お互いがコミュニケーションをとりあって、自由に動ける。
>そうやって、ルールを設けることなく、その関係性(バランス)を見つけていくことが
>できるということが、僕にとって魔法だと感じるんだ。

 正直、この言葉にぐっときた。(こっそり涙した。)
この言葉は、今回のことだけではなく、
人生においても同じだよなと感じた。

 うん、やっぱり、この感じ。すごく波乗りに似ている。

noamuノアム・カルメリ (イスラエル/テルアビブ)NOAM CARMELI   建築家を経て、武術家(合気道)、ボディーワー カー、そしてコンタクト・インプロヴァイザーとして 活動している。イスラエルの即興グループOktet の創設メンバーで、ヨーロッパでの活動も精力的 に行っている。現在イスラエルの CI アソシエーショ ンの総監督、及びイスラエルコンタクト・インプロ ヴィゼーションフェスティバルのオーガナイザーを 務める。CI、合気道、GAGA、イラン・レヴ・メソッド を学び続ける中、ムーヴメントの探求と融合、そし てコミュニ ティー の 形 成 に 積 極 的 に 臨 んで いる。 flow(流れ)を重視したワークは誰もが楽しめるも ので、多くの支持者を得ている。(KIDFホームページより)

IMG_1905すやまあつし(すやま・あつし)
好奇心旺盛な小心者。動物占いは子鹿。

サーフィンとスケボーとピアノが好き。

ライターの端くれ。

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