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【暑い夏14】与えられた動き、創り出す動き、体から湧き出る動き

2015年04月15日

 「コンテンポラリー・ダンスのワークショップといは一体どのようなものか。」
参加したことのない人はもしかすると疑問に思うかもしれない。クラシック・バレエのように決められたステップ、従うべきルールに法って作品が創られる必要の無いコンテンポラリー・ダンス。そのワークショップとはどのようなものか、またどのようにクラスは進められるのか、そこに興味を持って京都国際ダンスワークショップフェスティバル2014 に初めて参加した。

 

 参加と見学したいくつかのクラスの中から印象的だったものを2つ例に上げ、比べてみたい。
1つ目は「クリエイション&リサーチC-2」チョン・ヨンドゥさん(韓国)のクラス。現在、東京都の立教大学で教鞭をとるチョン先生。日本語を話し紳士的な優しい雰囲気のする先生だが、時に難しい課題を与え、生徒達を驚かせる。もちろんクラスの最初から難しいことをするわけではない。簡単なことから始めて、複雑なことへとつなげていく。振付家が作品を創るプロセスの中で必要な振付の論理性をこのクラスではじっくりと考える。
例えば、まず4つのシンプルな短いモチーフを創る。それぞれのモチーフの長さはそれほど長くない方が良い。ここで大切なことはモチーフ中の動き一つ一つをクリアにすること。曖昧な動きは創らないように気をつける。

 

 1、その4つのモチーフを使って20コマの踊りを創ってみる。ここでは考えやすいようにモチーフ、それぞれにアルファベットを割り当てよう。さてここで、A,B,C,Dという4つのモチーフが出来たわけだが、それらを使って20コマの踊りを創るとは、例えばAACCCBBBADDDBCCDAABDやBBBBCCADAABCCCDDDAAD等の踊りが出来上がるということだ。
2、4つのモチーフを併せて、さらに新しい動きABを創る。これはA+Bという意味ではなくてモチーフAとモチーフBの動きをそれぞれ分解して、それを一つにまとめた動きABを創るということ。モチーフA,B,C,Dから6つの新しい動きができる。それぞれにAB,AC,AD,BC,DC,BD。そしてこれらの6つの要素を使ってまた新しい踊りを創る。このように簡単なフレーズを使って少し応用を利かせると論理的に仕上がった一つの作品が出来上がる。

 

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撮影:下野優希

  「ダンスメソッドA-3」フランチェスコ・スカベッタさん(ノルウェー)のクラスはダンサーの感性を引き出すようなクラスだった。ここでは振付者でもある講師から踊りの振りを与えられることもある。同じ振付をたくさんのダンサーが同時に踊るわけだが、どれ1つをとっても同じ印象を持たないところが面白い。そこにコンテンポラリー・ダンスの特徴を見たような気がした。クラス受講者のメソッドやバック・グラウンドは様々なので、与えられた振付がなされて、決まった振付を踊るのだけれどもその表現方法は自由だと感じた。またこのクラスでも動きに法則性を持たせる試みがされていた。
例えば2人のダンサーが同時に踊るとき、一方が上の動き(立ったポジションの動き)をした時、もう一方は下の動き(座る又は床を使った動き)を取って、それを繰り返しながら波のような線を描き踊りが進んでいく。踊るダンサーを見ると、片方が上の時はもう片方は下で、それが逆になったりまた戻ったり。踊る相手方をしっかりと見ないとうまくいかないこの動きに、踊る方も見る方も真剣そのもの。

 

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撮影:下野優希

  C-2、A-3のクラス共に、コンテンポラリー・ダンスのワークショップという枠組みの中に組み込まれたクラスだったわけだが、クラスを受講・見学した後の印象はダンスのワークショップというよりも頭を使って勉強をした感じがした。ダンスのワークショップというと大抵は振付を与えられ、その振りの動きの習得にワークショップの殆どの時間を使うことが多い。しかし京都国際ダンスワークショップフェスティバルではダンサー自身が身体に持っている動きを外へ引き出すことや、動きに論理性を持たせるなどして自ら創り出す動きを探索したりなど、参加者の可能性を引き出すプログラムとなっている。
フェスティバルが行われている期間、クラスに参加するなどしていたら、また気になる事が出てきた。踊りのことを考えるとキリがない。その疑問点は次のワークショップフェスティバルで答えを探ることにする。

 

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撮影:下野優希

1_JUNG YOUNG-DOOチョン・ヨンドゥ(韓国/ソウル)JUNG YOUNG-DOO西洋的で高度なダンスメソッドと明確なコンセプトを併せ持つと同時に、東洋的に抑制された繊細な動きが彼の才能を裏付けている。Doo Dance Theater主宰。韓国新進気鋭の振付家であり、韓国を拠点に活躍している。韓国でも多くの賞に輝く他、「横浜ダンスコレクション・ソロ&デュオコンペティション」にて、「横浜文化財団大賞」「駐日フランス大使館特別賞」を受賞、フランス国立トゥルーズ振付センターにて研修する。’14年はJCDN国際ダンス・イン・レジデンス・エクスチェンジ・プロジェクトにて福岡に滞在予定。現在、立教大学 現代心理学部映像身体学科特任准教授。(KIDFホームページより)

prof_francesco フランチェスコ・スカベッタ (ノルウェー/オスロ)FRANCESCO SCAVETTA MPULSTANZ (オーストリア)や、P.A.R.T.S(ベルギー)、MTD(オランダ)など、主要なフェスティバル、大学、ダンス機関等で引っ張りだこのカッティング・エッジな振付家。ノルウェーとスウェーデンを拠点にダンスカンパニーWee を率い、これまでアメリカ、ヨーロッパなど27 カ国をツアーしノルウェーを代表するカンパニーとなる。ヴェネチア・ビエンナーレで初演されたミクストメディア作品『Live』から、アブストラクトで即興的な『Surprised Body Project』まで幅広い作品群を誇る。そのムーヴメントは、リリーシング・テクニックやコンタクト・インプロヴィゼーション、そして太極拳などをバックボーンに独自の言語を開発している。(KIDFホームページより)

グリーン育子(ぐりーん・いくこ)
ダンサー歴12 年。海外のカンパニーでプロダンサーとして勤務した時はクラシック・バレエ、モダン・ダン ス、コンテンポラリー・ダンス、民族ダンスなど沢山の種類のダンスに触れました。踊ること、食べること、 本を読むことが好きな京都人です。

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