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【暑い夏14】 C-1 「Piece」

2014年06月15日

 2014年4月11日~13日にかけてトーマス・レーメンさんのクリエイションに参加しました。京都の暑い夏のチラシではトーマスさんが進める「A Piece for You」というプロジェクトをベースにしたクリエイションをすると書かれていました。ドイツ出身で、大学で教壇に立ったりしながら世界中でワークショップをしているトーマスさんのワークショップはどのようなものか楽しみにしながら、クリエイション初日を迎えました。 クリエイションの前に皆さんで自己紹介をしました。トーマスさんも自己紹介をして下さり、大きな世界地図を私たちに見せてくれました。そこには「A Piece for You」プロジェクトで訪れた国にピンクの目印、次に訪れてみたいと思う国に黄色い目印が貼ってありました。地図を指差しながら「ここの国ではプロジェクトが上手くいった」「ここの国は凄く“内々の環境”が多かったから難しかった」など国によって「A Piece for You」といプロジェクトは変化するものだと教えてくれました。日本人の私たちが作る「A Piece for You」はどのようになるのかワクワクしながら、動きを混じえたワークに入っていきました。

 

撮影:下野優希
撮影:下野優希

 私が一番印象に残っているワークは、ペアを組み一人は目を閉じ、もう一人はその相手のサポートをするというものです。目を閉じた人は自由に動くことが出来 ます、ただ視界がないため相手のサポートがないと危険が出てきます。サポート役の人は相手の自由を損なわず、そして相手が望む「wish」を叶えるために サポートします。サポートすると言っても動きだけではなく、会話をしてコミュニケーションすることも出来、安全であれば相手を観察していることも出来ま す。サポート役は相手の「wish」を叶えるために全身で働き続けるというワークでした。 このワークショップで多くの人がこの「wish」とい単語に悩んでいたように見えました。トーマスさんがいうにはこの「wish」は現実的でも非現実的で も良く、ただそれを願った人は自由に動きとしての差し替えや、言葉としても「~がしたい」などと発することが出来ます。自由過ぎる課題に私は戸惑いまし た。他の参加者の方も「~がしたい」と直ぐに出る人は少なく、サポート役になったときも「相手が望むwishを形にして叶えないといけないと思い、ただの 動作になってしまう」と話す人も居ました。 何回かペアを組み、この「wish」のワークをしました。私がサポート役になった時に気をつけた事は“色”でした。相手役は自由な「wish」を想像しな がら動きます、私の動きでは安全にしつつも少しでも自由を妨げないようにするのが精一杯だったため、言葉でイメージを膨らませるものがあるとしたら“色” だと思ったからです。動きに色をつける事は出来ませんが、イメージの中での動きでは色は付けれ、その付けた色によって動きも変わっていくのが間近で見るこ とが出来て私も発見がありました。

 

撮影:下野優希
撮影:下野優希

 最終的にこのワークショップでは4人1組になり、1人が望む「wish」をリーダー役と他の2人がサポートとして入りその「wish」を望んだ人にショー イングするという形で終わりました。観に来てくれた人も一緒にショーイングを見るとい感じでしたが、ある人からは「ショーイングというより、体感したとい う感じでした。」という感想を頂きました。 このワークショップでは相手の望む「wish」を叶えるために、自分も相手が望む「wish」の内容を理解して、どのようにプレゼントするかを自分なりに 考えるということをしましたが、それは舞台を作る時の基礎の部分でもあるなと思いました。お客さんの真っ白でイメージが何倍にも膨れ上がる「wish」の 中に自分なりに考えた「wish」を携えてどのように見せるのか考えた結果をプレゼントする。全てのお客さんの望みは叶えられなくても、少しでも想像を膨 らませるPieceとして贈る事が出来れば舞台でも嬉しいなと思わせてくれたワークショップでした。

 

撮影:下野優希
撮影:下野優希
撮影:下野優希
撮影:下野優希
撮影:下野優希
撮影:下野優希

1_トーマスプロフ写真トーマス・レーメン(ドイツ/ディンスラーケン)THOMAS LEHMEN ダンサー、振付家。’86 –’90年、アムステルダムのNew Dance Developmentで学ぶ。’90 –’10年、ベルリンにて数多くのソロやグループ作品、プロジェクトを発展させ、世界各地で公演を行っている。主にコミュニケーションそして自分を取り巻く環境の中で影響を受け、創造的な関係性の中でその環境を作っていく人間に関心を持っている。アムステルダム、ハンブルグ、ベルリン、アリゾナなど多くの大学で教鞭に立ち、世界各地でWSを行っている。’11年秋にはヴィラ鴨川のレジデンスアーティストとして京都に滞在。今年は現在展開中の旅するプロジェクト『A Piece for You』のため来日。(KIDFパンフレットより)

岩田岩田奈々 (いわた・なな) 2011年近畿大学舞台芸術専攻を卒業。在学中にコンテンポラリー・ダンスに出会い現在フリーで活動中。演劇ユニットkittに所属。 (kitt公式webサイトhttp://kitt.main.jp/

 

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