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2009.08.28-30 BABY-Q『[リゾーム的]なM』@アイホール
2009年08月15日
BABY-Q 新作公演『[リゾーム的]なM』
これは絶対に見るべき。見ないと本当に後悔するぜ。
と予め言い切ることの難しい水物芸術、ダンス。そんな中にあって、ちょっと乱暴な物言いをしても誰彼構わずお誘いしたいのが、東野祥子とBABY-Qの新作公演だ。今回は、彼らの創作の中でも画期的なものとなるだろう。というのも、ジャンルやカルチャーシーンを横断して強力な磁場をなしてきた作家とカンパニーが、その磁場の結び方そのものを見つめ直し、新たな局面へと踏み出したように思われるからだ。
簡単におさらいしておくと、振付家としての東野は、90年代に日本で活発になった個人の創作活動がシーンをなす中で才能を表わし、2000年前後に整備されたその舞台芸術としてのステップアップシステムをとっとと上り詰めた。一方で、ミュージシャン、映像作家、造形作家ら異なるメディアの使い手と結んで各々の創作の場を行き来し、ジャンルやシーンの価値体系を活性化するような動きを示してきたことも見逃せない。例えば2000年に結成されたBABY-Qには、異色の経歴を持つパフォーマーやアーティストたちがずらり。その舞台を振り返れば、種々の異形、人形、ロボット、DJやVJが居並び、メディアを駆使して身体とそれに向けられる視線を幾重にも相対化する。一方で客席に目を転じると、様々な分野の立役者やダンス臭のしない観客層がひしめきあう。その公演は、眺めるに値する一個の作品であるに留まらず、複数の場と連動し、交錯する諸々の関係を体験する、それ自体希有な場となっている。
このように、東野祥子とBABY-Qは、特定の領域に依存せず活動を行ってきたし、コンテンポラリーダンス、アンダーグラウンド、サブカルチャーといったものが何に対するカウンターであるのか判然としなくなった今日、今後も順調に、無節操に関係を広げてゆくのだろう。
その上で、新作がこれまでとは画される試みになると思われるのは、一つには、5月にArt Theater dBで目にした東野のかすかな変化による。個人史をも感じさせる作品展開の中で、彼女の踊りに加わった線、ミュージシャン、カジワラトシオとの関わり、客席に及ぶ場の満ち干etc…。そこには、BABY-Qのコアであり、より強いスペクタクルを求める観客の視線を引き受け、高みへと登りつめてきた舞踊家が、今まで見せてこなかった方向性が含まれていた。
新作タイトルの[リゾーム的]という言葉も、東野が今回BABY-Qとともに志す地点に、輪郭を与えてくれるかもしれない。もともと植物の根の組織生成をモデルとするこの概念は、中心に組織されるメイン、そこからの断絶に拠るサブに対する、第三の関係性を言い表したものでもある。アカデミックな組織を出て、カウンター的な領域と連動してきた活動の果てに、そのいずれでもない関係の結び方が、あるいは模索されているのかも知れない。それがどんなものとなるかは、劇場でのお楽しみ。
もちろん、東野が昨年の公演中に負った大怪我から復帰して初めてのBABY-Q作品ということでも待望される。また関西公演の後、デュッセルドルフ、ミュンスター、ポツダムを廻るドイツ公演も決定している。
BABY-Qの門出を祝うためにも、是非劇場に足を運んでいただきたい。(古後奈緒子/ dance+編集)
詳細>>>information
参照リンク>>>log-osaka interview 2008年『私はそそられる』review-
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