伴戸千雅子「母ちゃんと赤ちゃんのカラダ学 第2回」
2009年06月29日
「戦え!カラダ」5月のゴールデンウイーク。毎日いろんな予定を入れてワクワクしていた。しかし……。
子どもは熱を出して水ぼうそうになり、私も熱を出して、子どもが持っていた菌がうつって副鼻腔炎になり、およそ2週間鼻がきかない状態となる。ダンナも同様。その後、新型インフルエンザ騒ぎで保育所は1週間休みになり、騒ぎがおさまった頃に、私はまた熱を出して下痢。気が付いたら、6月になっていた。
いろんなところにお出かけならぬ、いろんな菌やウイルスが家に遊びにきた1か月だった。
「水ぼうそうになった」と言うと、笑顔で「よかったね〜」と言う人と、困った顔をして「大変やね、予防接種してなかったの?」と言う人がいます。
「うん、予防接種してないの〜」とノウテンキに答えると、いろいろ突っ込まれるので、適当にごまかします。
子どもが出来ると、今まで考えもしなかったことに悩まされ、考えさせられるが、その一つがこの「予防接種」である。
出産後、数カ月たつと役所から予防接種のお知らせがやってくる。三種混合(ジフテリア、百日せき、破傷風)、ポリオ、BCG、はしか、風しん。懐かしい響き。何か知らんけど、子どもの時注射いっぱい打ったわ、という方も多いでしょう。私もそうです。母ちゃんも打ったし、子どもにも打つのが当然よねー。多分ねー。きっとねー。ほんとにー?
っていうか、ポリオって何? BCGってどこの国の病気?
という訳で、あれこれ本を読んだり、「予防接種を考える会」みたいなのに行ったりしまして、今のところ子どもに予防接種を受けてない。理由をかいつまんで言うと、三種混合やポリオ、BCGなどは発症率が極めて低い(副作用の問題もある)。また、はしかやおたふくかぜなどは、かかることで免疫をつけたらいいんじゃないかと思ったからです。ちなみに、子どもは病気にかかり、それを経過することが成長の節目になる、という風に言う人がいる。「はしかで呼吸器や肝臓が丈夫になり、おたふく風邪で生殖器が生育し、水ぼうそうで腎臓が完成する」(「母と子をつなぐ出産術」岡島治夫著)。いい考え方だなと思うのです。
予防接種のことで考えたこと。
●カラダは免疫や抵抗力をつけたりして、この世の中で生きていく。
●人はいろんな菌やウイルスを排除して生きのびようとしている。
菌やウイルスは新型を作り出して、生きのびようとしている。
●世の中には多数派と少数派がいる。予防接種について勉強したり悩んだ人はおおむね少数派である。
●予防接種法では「努力義務」なのに、保健所や保育所では「予防接種してない」と言うと、
「なぜですか? 他の子にうつさないためにもしてください」と詰め寄られるから面倒くさい。
しかし、向こうからは迷惑な人と思われる。
予防接種のおかげで、死に至るような病気からカラダを守れるようになりありがたいが、行き過ぎると、病気にかかる自由もないのかと言いたくなる。不謹慎な発言は承知。自分の子どもが死にそうな病気になったら、この発言を悔やむかもしれない。でも、「生」と同様に「死」は大事なことだ。人間は死ぬから生きてる。どっこい。
そんな訳で、私のカラダも小さい時から、望むと望まざるとに関わらず、注射や環境や社会に作られてきたんだとしみじみ感じました。時々、自分とカラダとの関係がうまく結べず「居心地が悪い」「カラダが遠い」などと言う人がいますが、当然かもしれません。カラダの中にいっぱい知らないものが入っているのだから。
私はカラダを動かすことで、少しずつカラダと関係を作ってきたような気がする。それは、未完成なカラダを作っていくような作業で、産まれてから死ぬまで、人はそういうことしていくんだろうと思う。肉体的なことだけじゃなく、心もカラダだし。
ところで、踊り始めた頃、「カラダを無茶苦茶にしたい!」と暴れて傷つけるようなことばかりしていたけれど、自分のカラダを探して七転八倒していたのかもしれないな。今だに暴れているが、それはあがきか。
(つづく)
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伴戸千雅子(ばんど・ちかこ)
ダンスカンパニー「花嵐」のメンバーとして作品を作ったり、踊ったりしている。個人的には、視覚障がい者とのワークショップナビゲーターをつとめ、舞台の演出・振付をする。07年出産以降、子連れママさんと「なんちゃってアフリカン」「こころとからだのストレッチ会」などをやりつつ、生活と表現活動の間で右往左往している。http://baab.cocolog-nifty.com/blog/
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