2009年06月28日

F(ビギナークラス) キース・トンプソン コンテンポラリー・ダンスって何? どんなことするの? そんな疑問に応える、毎年大好評の通称「サラダ・ボール・プログラム」。ダンスに興味ある方へのイントロダクション・レッスンです。世界で活躍する「暑い夏」人気講師による様々なスタイル、考え方のダンスに触れることができるプログラム。ワークショップ終了後には講師との交流の場「アフタートーク」。そして、講師とスタッフ&有志による「懇親会」へと流れ込みます。身体的にも知的にも刺激的な〈場〉です。



prof_kiethキース・トンプソン (USA / N.Y. アメリカ合衆国/ニューヨーク)
恵まれた身体的資質に裏打ちされた伸びのあるダイナミックな動きが多くの人々を魅了する。骨格や筋肉の構造に正確に、無理なく動くことで生まれる軽やかな動きの中に、ハッとするような驚きやウィットが込められている。アメリカとヨーロッパ各地でダンスを学んだ後、リリーシング・テクニックの先駆者として有名なトリシャ・ブラウン・ダンス・カンパニーで10年間踊る。その間リハーサルディレクターも務め、現在TBDCでWSを継続する他、アメリカ・ヨーロッパ各地で指導を行うなど優れたダンス講師である。’06年、自身のカンパニー“dance Tactics”を設立。
キース・トンプソン。どこか、野性的な雰囲気がある。ネイティブアメリカンのような。エネルギーを感じさせる何かを持っている。ただ、野生的なだけではない。他方で、優しさと包容力も併せ持っている。

それを特に感じたのが、質問した時の答え方からだった。質問しやすい雰囲気がある。答えも分かりやすい。伝わりやすいように、端的な答え。ワークショップ(以下WS)そのものもさることながら、個人的な先生とのやりとりができたこと。先生とやりとりする場が設けられていたこと。そこでの先生とのやりとりの醍醐味が印象に残った。

まずは、個人的に質問した中からいくつか。


「体が固い。どうにかしたい」
  お腹の所にレンガでも入っているような感じで、全く前にいかない。

「腰を意識したらどうか」
  お腹で曲げるのでなく、腰のところから曲げるように。
  確かに、頭だけが前に行っていて、「コの字」を書いたようになっていた。


「仰向けに倒れるとき、いつも腰を強打してしまうが。どうにかならないか」

「お腹の後ろを意識しろ。意識しないから、腰の出っ張りが床に当たってしまっている」


「WSの途中、言われたことができない時。どうしよう。これもできない、
  あれもできないって考え込んでしまうことがある」

「考えるのはひとつだけ。それも、整理がついたら動きに集中。考えないと動物と同じ。
  人間だから考えるほうがいい。でも、考え込むと、体が『フリーズ』してしまうだろ?」
  これはダンスに限らず。いつも考え込むことが多い僕にとっては胸に染み入る言葉。

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Photo by Fumiko URUNO

京都の暑い夏。ビギナークラスの特典。アフタートーク。ワークショップの後の飲み会。アフタートークはWSの後、先生を囲んでの座談会。飲み会は、担当した先生と参加者で飲みに行くこと。ほぼ毎日開催。中にはこれが楽しみで、ビギナークラスに来ている人もいるとか、いないとか。アフタートークって、一方的に聞かされるだけであまり好きじゃなかったけど、今回は、「先生からの質問」という形でどんどん参加者に振ってくれるから、質問しやすかった。他の人の発言を聞いていると面白い。同じ体験をしていても、捉え方が違う。キース先生が問いかけた質問。


1.Who gets to dance?

2.Where and when you dance?

3.Why is it important?
4.Why does it matter?


その質問で、はっと思うことがあった。「何故ダンスをしているのか?」

前日のWS。いまいち気分が乗らなくて、悶々としていた。何故、僕は暑い夏を受講しているのだろうかって。すぐに考え込んでしまう癖から、近くの喫茶店で唸っていた。考え込んだ割に、結論は簡単で、「他人と関わりたいから」、「体を動かす楽しさを感じたいから」。そう思えると、割と自由に動けた。WSの中身は、ストレッチと軽い振付。振付って、「こうしなきゃ」だとか、「間違えたら駄目だ」って思ってしまいがち。でも、何故ダンスをやるのかって自分なりの結論が出ていたから、出来なくてもいいのだって気持ちになれていた。ダンスって別にこうしなければ駄目、ってもんではない。それぞれ、11人にダンスがあっていいのかなって。

そういう自由な気持ちでやった後にアフタートークがあった。そして、昨日自分が考えたことそのままの問いかけがキースからあった。アフタートークって、たった今やったことの意味を確認できる場だと思う。でも今回は、もっと深い部分のこと。自分が考えたことをなぞってもらって、実際に考えたことだからこそ、響くような言葉をもらうことができた。「何故ダンスをするのか。私はいつも自分自身に問いかけている」。キース先生ならではの、端的な分かりやすい言葉だから余計に胸に刻み込まれる。体もさることながら、言葉も印象的なクラスだった。

そういえばこういう言葉もあった。

Everyone can say ” I am a dancer. “

F_Kieth_Takada_2
Photo by Fumiko URUNO
たかた ゆうすけ オープンな時はかなりオープンだけど、こもる時はこもってしまう気分屋。ダンスは半年前から。やっていて、「こもるな」と一喝されたことに覚醒。こもっているって分かるんやと。最近は、「パフォーマンスするー見る」の関係に興味を持っている。コンテンポラリーダンスの嘘のつけなさに惹かれる。
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