2009年07月14日

上海太郎とメタファーの演劇
講師・中西理(演劇舞踊評論)
特別ゲスト・上海太郎(上海太郎カンパニー)

東心斎橋のBAR&ギャラリーを会場に作品・作家への独断も交えたレクチャー(解説)とミニシアター級の大画面のDVD映像で演劇とダンスを楽しんでもらおうというセミネール「現代日本演劇・ダンスの系譜」の第11回の日時が決まりました。これまで第1回目のチェルフィッチュを皮切りに今もっとも注目の演劇・ダンスの集団(作家)を選んで紹介してきました。

今回は上海太郎舞踏公司です。これまでセミネール演劇編では平田オリザを筆頭に「関係性の演劇」とその後継者を取り上げてきました。実は日本演劇にはそれと対極をなす大きな流れ「身体性の演劇」があり、次のシリーズではこちらを紹介していきたいのですが、上海太郎の劇世界はその両者をつなぐきわめてユニークな場所にあります。作品そのものは笑いの要素も重視しているために軽く見る人が多いのですが、日本現代演劇において90年代を代表する作家であると考えています。新カンパニー「上海太郎カンパニー」の旗揚げ公演9月にを控えて準備中の上海太郎氏をゲストに迎え、俳優・演出家・振付家として多彩な展開を見せるその才能の真価に迫っていきたいと思います。

関西を代表する人気劇団だったそとばこまちの座長の座を捨て退団。言葉の壁を越える演劇を目標として新たな表現の場を求めて、劇団「上海太郎舞踏公司」を1989年に設立。ダンス、パントマイムをベースにした短い場面を積み重ね、壮大でイメージ豊かなドラマを構成するという独特のスタイルにより「ダーウィンの見た悪夢」「マックスウェルの悪魔」などの傑作群を制作し、海外公演などでも評価を得ました。

注目すべきは上舞は上海が冬樹(中村冬樹)と一緒に旗揚げしたカンパニーであったということ。冬樹はダンスボックスの発足時の共同プロデューサーでもあり関西のコンテンポラリーダンスの草分け的存在。そういう経緯もあってか、コンテンポラリーダンスとも深いつながりを持ち劇団員だった文(dancebox)、垣尾優(contact Gonzo)をはじめ、ヤザキタケシ、北村成美、いいむろなおきら数多くの関西を代表するダンサー・パフォーマーが客演し、創作へのヒントを得るなどその黎明期に大きな影響を与えた。最近はダンス界からはその存在を無視されている感もあるが、存在意義は実は大きい。

さらに最近ではクラシックの名曲に勝手な歌詞を付けてアカペラで歌う上海太郎舞踏公司Bの活動も積極的に進めるなど多彩な才能を見せる上海の全貌にも迫っていきたい。

セミネールで紹介する予定の映像

「ダーウィンの見た悪夢」(ほぼ初演バージョン)
「マックスウェルの悪魔」(豊中ローズホール)
「ジャックは箱の中」(青山円形劇場)
「Opef」(豊中ローズホール)
「RHYZM」(アイホール)

このほか本人さえ長い間映像を見たことがなかったという幻の旗揚げ公演「破鏡重円」などの貴重な映像を上海太郎本人が提供してくれ入手することができました。

意外と知られていないのですが、上海太郎舞踏公司には劇団員として文(ダンスボックス)、冬樹、垣尾優などが参加していたことがあるほか、ヤザキタケシ、北村成美、田村博子、北村俊介、村上和司ら大勢のダンサーが無名時代に参加してその後の飛躍ための貴重な経験を積んでいます。当日は彼、彼女らの貴重なレア映像も見ることができコンテンポラリーダンス好きにとって必見ですよ。

【予約優先】定員20人ほどのスペースなので、出来るだけ予約をお願い致します。当日飛び込みも満席でなければ可能ですが、+300円となります。なお、満席の場合お断りすることもあります。
日時 2009年7月30日(木)19:30
場所 FINNEGANS WAKE 1+1
大阪市中央区東心斎橋1-6-31 リードプラザ心斎橋5F
(東心斎橋、清水通り。南警察署2軒西へ)
料金 1,500円(1ドリンク付) 学生1,200円(1ドリンク付)
予約・問い合わせ  【予約】fw1212+yoyaku.090730@gmail.com
 お名前 人数 E-MAIL TEL 住所をご記入のうえ、
 上記アドレスまでお申し込み下さい。
【 問い合わせ】06-6251-9988(FINNEGANS WAKE 1+1 / 20:00~)
URL http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20090701
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