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【暑い夏12】「ノアム・カルメリ コンタクト・インプロヴィゼーション基礎編」体験レポート

2012年05月31日

D-2 ノアム・カルメリ コンタクト・インプロヴィゼーション (基礎編)

テーマ:Riding the waves –波に乗る。

『ムーブメントの生み出すウェーブとは何だろう?カラダの内側でどういう風にしてそれを感じとるのか?世界にそれはどんな風に現れ、そしてそれを感じ取る能力をいかに発展させることができるだろうか?独り / パートナーと行う、様々なエクササイズを通じて、ウェーブを追いかけること、そしてそれを身体の内側で感じること、踊りながらいかにウェーブをキャッチし乗りこなすかを学びます。そしてそれはより自由で、より正確でより愉しいものになるのです。』(ノアム・カルメリ)基礎編では上記のテーマに基づき身体や感覚を開いていき、動きに親しみ、感じ、使うことを学びます。



prof_noamノアム・カルメリ NOAM CARMELI (イスラエル/テルアビブ)

コンタクト・インプロヴァイザー、武術家(合気道)、ボディーワーカー、そして建築家としても活動している。イスラエルの即興グループ“Oktet ” の創設メンバーで、北アイルランド“Echo Echo dancecompany” でも踊る他、ヨーロッパでの活動も精力的に行っている。現在イスラエルのCI アソシエーションの総監督、及びイスラエルコンタクト・インプロヴィゼーションフェスティバルのオーガナイザーを務める。CI、合気道、GAGA を学び続けるなか、ムーブメントの探求と融合、そしてコミュニティーの形成に積極的に臨んでいる。

 初日  

 仕事終わりでの少し遅れての参加となった。会場に入るとちょうど脱力のワークが行われていた。参加者が皆床に大の字に寝転がり脱力・・・意識も力を抜けていく。そこに私も合流。日常の生活では知らず知らずの内に体と気持ちに力が入っていたと気付かされる。自分を感じ、周囲を感じる中で脱力と共にその場に溶け込んでいった。そこからノアムさんの基本となる「脱力・・・波/ウェーブ(waves)を通すことの出来る体」に整えるための「fool&push」を体験するワークへ。

 「fool&push」  

 まず、ひざを曲げ足の裏で床を感じ「押す(push)」で横になった体を上下に揺らす。初めは足の裏から生まれた”ウェーブが体の中を通る”イメージが掴めなかった。だが足の裏から生まれた”揺れ”に意識を集中すると心地良さと何かが体に流れているのを感じた。

 ”揺れ”とは重心移動なのかもしれない。このことから「波/ウェーブ(waves)を通す」とは自分の重心を感じることではないかと思った。初めに私は重心を体の中で”重たい球体”のイメージで持った。まず床を押すと重たい球体は揺れて存在がイメージされる。さらに強く床を押すと体の中を移動しはじめる。すると、徐々に床と接する面を減らし、上に向かって体を起こしてゆくワークの際も、球体の移動を感じ、その移動に合わせて体を動かすと”外側の体”が付いていくように感じられ、無駄な力、反動も使わずに体を起こせた。さらに、そして起きた体の重心が崩れる際にも、勢いのある球体の移動を感じ、その流れは大きく体を動かす様々な行動に繋げてゆくことができた。

 このような重心の流れとしてのウェーブは、次に行ったペアの体の上を交互に転がりながら移動するワークでも感じられた。初めこそ、転がる動きに集中して、重心が移動している感覚を感じられなかったものの、何回か繰り返していると、スムーズに転がる感覚を少しだがつかめてきた。ここでも、手で床を押すことから生まれるウェーブを体のひねりで上手く逃がせば、転がる時のがたがたした抵抗が減ったのだ。

 初日を終えての全体のイメージは”ガッツリとしたコンタクト”だった。重心を感じるためには相手との間にも強い圧力を感じるぐらいじゃないと明確には感じづらいと思われたからだ。この点で、いつも行っているコンタクトとは少し印象が違って感じられた。

撮影:地案絵里
撮影:地案絵里

 最終日  

 スケジュールの関係で2日間は不参加で最終日に再び受講。まず3日前とは随分印象が違っていた。

 というのも、初日に感じられた力強さに、いつも行っているコンタクトの要素に近い柔らかさと繊細さが加わったように思われたからだ。そして柔らかさと繊細さの要素が加わった状態で、つまり足の裏で床を押すことでウェーブを生みだしつつ、同時に体の状態は必要最低下の力で保たれている時が”過不足のない脱力”で自立した状態だと言えるのではないだろうか。このことはフェスのテーマでたびたび話題になった「応答能力(Response-Abilitity)」にも繋がってくる。実はそれまで、周囲に応えるこの力のことを”脱力してただただ受け入れること”のように捉えていた。けれどもノアムさんのクラスを受けて、重心を感じると体の中心線が意識され、この意識は脱力するのにも必要だと気付かされた。

 そのことを思い知らされたワークがある。まずペアの1人が立ち、その人に体の一部を触れさせて一定の重心を傾け、強さは相手が倒れてしまわない程度で相手の体を立ったまま移動していくもので。このワークをした時に相手に重心を傾け過ぎないと逆にやりづらくなってしまうのではと感じた。実際に初めは少し遠慮して重心を傾けたが私自身動きづらくなった。相手もこちらの重心に対してのカウンターの圧力を繊細に掛ける必要があり、弱い圧力はより難しさが増し、余計な不安を相手に与えてしまう。そして逆に相手の重心を受ける時に私自身が”ただただ受けるだけ”ではそのまま倒れてしまう。だから倒れないようにお互いに関係を成立させるためには相手が必要としうる重心、圧力を掛けて安定する必要があるのだと思った。

撮影:地案絵里
撮影:地案絵里

 こういったことを考えたそもそものキッカケが「ウェーブ」から自分の重心を見直したことにある。すと、それにより体の中に”ウェーブ/重心 “が行き来するラインが生まれる。それがしなやかな芯となり、周囲に応答するための程良い脱力状態を支えるのではないだろうか。

 これが、今回別の角度からコンタクト・インプロヴィゼーションを体験してみて気付いたことだ。それはコンタクトを続けていればもう少し先に気付けたかもしれないことだが、この機会に少し早く気付けた気がして嬉しく思った。今回、コンタクトに限定した体験でなく、物事はいろんな角度で体験すると新たな発見があるという点も改めて気付かされた。 こういった数々の体験を日常でも活かせないかと意識を巡らすと、同じ日々の繰り返しのように感じてしまう明日からの日々が新鮮に感じられてきた。

(2012年4月27日、30日参加)

下野優希(しもの・ゆうき)

2008年劇研アクターズラボ、公演クラスに参加し初舞台を踏む。その後「アクターズラボ+正直者の会」に参加し3作品に出演。その間、体からの演技に興味を持ち、2010年より京都の暑い夏事務局主催の定期コンタクト・レッスン受講中、その他に京都国際ダンスワークショップフェスティバル、CIMJを受講。現在は「正直者の会.lab」の企画に参加中。

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