document/a(c)tion point of view

【暑い夏12】「振り付けで遊ぶ、楽しむことでダンスが生まれる」

2012年05月31日

E ビギナークラス Beginner class

コンテンポラリー・ダンスって何? どんなことするの? そんな疑問に応える、毎年大好評の通称「サラダ・ボール・プログラム」。ダンスに興味ある方へのイントロダクション・クラスです。世界で活躍する講師による様々なスタイル、考え方のダンスに触れることができます。



prof_jun

森井 淳 JUN MORII (日本/大阪)

ラバン・センターにてコンテンポラリーダンスを学び、ヨーロッパ各国にて公演& ワークショップを行う。帰国後、演出・振付の相原マユコらと共にj.a.m.Dance Theatreを結成。国内外で様々な公演&ワークショップを行う。またMonochrome Circus やじゅんじゅんSCIENCEなど様々な振付家・ダンサーと活動する傍ら関西を中心にコンテンポラリーダンスクラスやワークショップの指導・振付にも積極的に取り組む。近畿大学文学部非常勤講師。

 ビギナークラス7日目は森井淳さん。

 森井さんのクラスでは、振り付けが与えられる一方で、楽しむことを意識した進め方が印象に残った。

 実は私は、振り付けは指示された動きをきっちり決めていくものだという先入観を持っていた。だが、森井さんは終始、別のことへと意識を促していた。例えば正座の状態から斜め横に手を伸ばして状態を起こす動きを、「お塩を取りに行って」と棚の上にある塩のビンを取りに行く動作のイメージで指示された。そして、繰り返し言われたのが、「楽しんで」と「フローを感じて」だ。これらの言葉で、今回求められている振り付けで大切なのは、振り付けの動きの一連の流れ、「フロー」をしっかりと感じて動くことだと気きづかされた。

 森井さんは「床を押す」ことも何度も言っていた。床に触れた部分をしっかり押すと、そこから動きへ繋がるフローが生まれるのだろう。そう考えて、例えば立った状態で手を伸ばす動きでも、手の動きだけでなく、床に接している足の裏を意識してワークを行っていたら、体の中で流れが生まれてより手が伸ばせる実感があった。

 この「フローを感じる」動きは、森井さんの最近のテーマである「エコに動く」に繋がる。私も、ムダな力が入らずにスムーズに動けることを少しだができたように思う。

撮影:下野優希
撮影:下野優希

 ところが、終盤の立った状態からの振り付けでは、指示された動きをひとつずつ理解して点のように繋げていこうと思うと、どうしてもスムーズな動きにならず、次の動きがぎこちなくなってしまった。この時は、振り付けに対しての苦手意識が生まれて、一つ一つの動作を確実に間違わずにやらないといけない気持ちがどんどん募っていった。そうすると、今まで言われていた自分の内側の「フローを感じる」ことも、外側の軽快な曲を感じることも出来なくなり、ただ動きを真似る状態が続いてしまっていた。

 そんな自分に気が付き、なんとかしようとしていた時、森井さんの「楽しむ!」という言葉が耳に入ってきた。同時に動きの正確さより「フローを感じる」ことが思い出され、間違いを恐れずに動きを繋げようという気持ちに切り替えることができた。そこからは振り付けの流れに自然と乗っていけ、最後に少しだけダンスが生まれた気がした。

 今回私は、踊ろうとした時に陥りがちな状態から脱するという体験をした。そのひとつのきっかけが「楽しむ!」なのだと、再確認できたクラスだった。

(2012年5月4日参加)

下野優希(しもの・ゆうき)

2008年劇研アクターズラボ、公演クラスに参加し初舞台を踏む。その後「アクターズラボ+正直者の会」に参加し3作品に出演。その間、体からの演技に興味を持ち、2010年より京都の暑い夏事務局主催の定期コンタクト・レッスン受講中、その他に京都国際ダンスワークショップフェスティバル、CIMJを受講。現在は「正直者の会.lab」の企画に参加中。

Translate »