document/a(c)tion point of view

【暑い夏11】たくさん笑った2時間、9日間

2011年06月15日

C-1 室伏鴻 「舞踏」を通じて身体の可能性/不可能性について考えます。「踊ること」をいったん自然の懐にかえすところから、「舞踏」の身体を複数の出会いの場とします。自らの身体の潜在する力を開き、鍛え、自由な創造と遊戯の過程から「舞踏」に出会います。参加者の年齢や経験は問いません。ともに身体を動かしましょう。
prof_murobushiKO MUROBUSHI 室伏鴻 (日本/東京) 舞踏における身体のエッジを模索する稀有な存在として、熱い注目を集めている。’69年土方巽に師事、’72年「大駱駝艦」の旗揚げに参加。’78年パリで「最後の楽園―彼方の門」を公演し、舞踏が世界のBUTOHとして認知されるきっかけとなる。’00年から『Edge』シリーズで欧・南米を中心に意欲的に活動。’03年Ko&Edge Co.を立ち上げ『美貌の青空』を発表、新しい舞踏を切り拓く作品として多くの批評家から絶賛を浴びる。 ’06年ヴェネチア・ビエンナーレにて「quick silver」を上演。IMPULSE TANZ(ウィーン)やアンジェ国立振付センターなど指導者としても世界各地で活躍している。

 「コンテンポラリーダンス」という世界に身を入れて、ちょうど3年。公演を見に行くたびに、折込チラシの中に「舞踏」という言葉がある。フランスに行ったときにも、向こうのアーティスト、テクニシャンに、「BUTOH」について聞かれる。インターネットで調べれば、土方巽さんがいて、大野一雄さんがいて、山海塾があり、大駱駝艦がある。誰が誰のところで学び、どういうことが行われて、今に至るのか知ることができる。たくさんのことを調べてみたものの、よくわからなし、折角のチャンスなので、受講させていただいた。  日本より、海外での活動が多い室伏さん。「Ko Murobushi」として、見聞きする方が多いんだと思う。初日は、自己紹介だけで、7割方終わり。しかし、十二分に楽しかった。室伏さんの話は本当に面白い。 初っぱなから、 「えーーーーーっ!! いいんですか、そんなこと言って!!」 となった。  この内容については、受けた人とか、その周りの人の楽しい秘密としておこう。私の口からだと、この面白さは伝えられないと思う。機会があれば、ご本人から聞いてみてほしい。面白いこと、間違いなし。

撮影:庵雅美
撮影:庵雅美

ワークについて。 まずは、軽いランニングから始まる。 次に、呼吸に合わせて、体を動かしていく。息を吐きながら、口、首、胸、肩、肚、腰、膝と緩めていって、横から見ると、体がS字に見えるようにしていく。次は、逆順に、体をI字にしていく。このSとIの状態が、「0の状態」だそうだ。「無」でも「虚」でも、イメージとか意味がつきすぎるそう。「0の状態」は、いつでも始められる、フラットな状態という感じだろうか。  それから、両足を開いて、真直に立ち、上体を吐く息に合わせて体を倒し、吸うに合わせて体を起こす。前に、左右に、呼吸に合わせて、徐々に大きく、早くしていく。室伏さん曰く、この動きは、サプライズからくるということで、 「ゴキブリが現れた!!」「ハンサムが!!」「美女が!!」 と、室伏さんが叫び、みんな笑いながら凄い勢いで頭を上下させる。 クラスの中では、いろいろなことを即興でやった。足を広げて、直立している状態から、急に腕が木になる。腕の次は、足が木になる。そして、ゆっくり溶けていく。右半身、左半身、全身、腕だけ、足だけなど、いろいろなパターンで、固まる。このときのイメージは、ピノキオ、ロボット、ターミネーターなどとのことで、 「ガキン!」「シュー!」「ファッ!」「ダハァ!」「カァッ!」 と、やはり叫びながら動いた。このときも、クラスの中は笑いがいっぱいで、体を動かすのが本当に楽しいと思った。ほかにも、鳥になったり、ばたばた倒れたり、爪先立ちから鳥になって、土方巽になって、美しくワルツを踊るなんてこともやった。  WS中盤に死体になるということ、そこから生き返ってくるということをやった。体から、体温が無くなっていって、凍えてくる。体は縮こまり、赤子のようになっていく。体全体が硬直して、指先さえ動かない、声も出ない、目も口もうまくは開かない。「体が動かない」というイメージを体に植え付けていく。呼吸はしているが、自分が呼吸していることを自分に気づかせないような、本当にかすかな呼吸にする。そこから、指先から少しずつ動くことを確認していく。凍ってしまった体に、少しずつ熱を入れていくようなイメージ。徐々に、徐々に「体が動く」という感覚を取り戻して行くようなイメージで、体に意識を通していく。じっくりと時間をかけて体に問いかけていくと、体がイメージと同化していって、集中しているせいなのか、時間感覚もよくわからなくなるし、体の感覚は自分からはなれていくような感じがした。

撮影:庵雅美
撮影:庵雅美

ショーイングでも、死んで、徐々に生きてくる。指先から、足先から、動いていって、痙攣のようにもなってくる、というのをやった。これは、非常に難しかった。自分の体が死に近い状態から、生き返ってくる。どうしても、なりきれないというか。そういう風に見せようと、意思で動かしてしまった。そうなれば、偽物でしかなくなって、活きた実感のないものになってしまった。死にきれなかったし、生き返ることもできなかった。クラスの中でやったときは、非常にしっくりと来ていて、時間をかけて、死に、生きた。体の動かし方を一切忘れて、また思い出す。そんな感覚だった。自分の体を一度捨ててしまうような感じがして、今まで得たことのない経験をした。体の感覚も非常に面白かったのだけど、あんなに楽しく踊ったのも久しぶりだった。本当に楽しんだ。 また受けたいなー。

(参加日:全通し)

辻本佳(つじもと・けい) 三重大学在学中にダンスを始める。「京都の暑い夏」主催オーディションに合格し、’08京都×アンジェ交換研修生制度に参加、’09カーン国立振付センター Company Fattoumi Lamoureux 振付作品『Just to Dance』にて、フランス国内ツアーに出演し、9月には日本での上演を予定している。昨年より、京都に居住を移し、ひっそりと活動中。
Translate »