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【暑い夏18】“考えすぎると動けなくなる”につける薬

2018年06月27日

〈ビギナークラス/アビゲイル・イェーガー(1)〉ワークショップレポート 4/28 京都芸術センターフリースペース

 

 私は普段踊ることもなければ、運動すらほとんどしないズボラな人間。それ故か、ダンスのワークショップなのに、フリーズして動けなくなることがあります。それはたいてい“振付コーナー”なのです(これまで のレポートでも悪戦苦闘しているのをご存知の方がいらっしゃるかも知れません:苦笑)。懲りない、学習しない・・・いろんな言い方ができますが、ひとことでいうなら「動き(振付)を頭で考え出すと、身体につながらない」のです。どうしてそうなるんだろう・・・そんなことを改めて感じたのがアビゲイルさんのワークショップでした。

 

 アビゲイルさんのワークは大きく2つのパートで構成されていたように思います。まずは身近な「水」を具 体的にイメージしながら動いたり、「重さ」を意識して身体を動かすこと。2つめのパートは先に学んだ身体 の感覚を引き継ぎながら、自分を取り囲む空間に仮想点を配置、その仮想点を動きに活用すること。1パ ート目のワークなら楽しくついていける、それが昨年も彼女のワークを受講した素直な感覚でした。その 感覚がどこからくるものなのか・・・そんなことを考えてみたのが、このレポートです。

 アビゲイルさんのワークの冒頭、彼女はバケツの中に用意していた小さな水風船を参加者に手渡しながら「水にはたくさんの要素があります。」と話し出しました。水風船を手の中でゆする時に感じる水の動きやすさ、形の変容をイマジネーションの力を使って感じてみようと言います。「グランドキャニオンは水が通ることによって削られ、今のような姿になったことを想像してほしい。」とも。水がもつ動きや形のポテンシャルについてたっぷり時間をとって話したあと、アビゲイルさんは「はじめは水としての身体をチューニングして、水のようなやわらかさを自分の身体の中に見つけていきましょう。その次に水の身体をどのようにオーガナイズしていくかやってみましょう。」と言葉をつづけました。私はこういうワークが大好きで(笑)、ど んどんのめりこんでいくことが出来ます。何となく自分が知っているイメージがあるから、それをなぞれば、あまり考えずとも動けるからでしょう。一方で、自分を取り囲む空間をキューブ状にイメージし、キューブの各頂点と中間点(=合計27個の仮想点)をイメージしながら腕や脚を決まったプロセスで動かす(=振付) という、日常ではあまり経験のないものになると、途端にフリーズしてしまう・・・。ここでふと思ったのは身 体が知らないことに対する想像力が弱いのかも知れない(頭を使う想像力は得意でも、身体を使う想像力は弱い)ということ。

 

 ダンスは日常では意識されない身体パーツの連携や動かし方をしているのかも知れません。アビゲイルさんのワークの2パート目に私が涙目になってフリーズするのには、こんなことが起因していたのかも。 身体を使う想像力、来年までにはもう少し強化しておきたい・・・懲りもせず、今年もまた、そんなことを思う私。きっと、ずーっと、こんな風にボヤいているんでしょうね(苦笑)。

 

アビゲイル・イェーガー(アメリカ/ノースキャロライナ)

ABIGAIL YAGER(USA/North Carolina)

アビーの小柄で知的な雰囲気とウィットに富んだムーヴメントには誰もが魅了される。1995年~2002年トリシャ・ブラウン・ダンス・カンパニー(TBDC)にてダンサーと音楽アシスタントを務める。また、トリシャ作品の振付・再構成をリヨン・オペラ・バレエなどの国際的なカンパニーで務める他、アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケルの主宰するP.A.R.T.S.(ベルギー)や、アメリカンダンスフェスティバルなど、名だたるアカデミーで同様のプロジェクトをディレクションしてきた。また、韓国国立芸術大学、フランス国立振付センター(CCN)での指導など、ワールドワイドに活躍している。現在ノースキャロライナ芸術大学(UNCSA)で教鞭をとる。

亀田恵子

大阪府出身。2005年、日本ダンス評論賞で第1席を受賞したことをきっかけにダンス、アートに関する評論活動をスタート。

会社員を続けながら、個性と創造力とで人生を渡り切るべく奮闘中。

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