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【暑い夏18】進化するように対話する—— はじめに、身体ありき。

2018年06月27日

〈ビギナークラス/坂本公成・森裕子〉ワークショップレポート 4/27 京都芸術センターフリースペース

 

 「はじめに言葉ありき」という有名な聖句もありますが 、今回の暑い夏のテーマは『Bodylogue(=身体を通しての対話、身体をめぐる対話)』。

本フェスティバルのプログラム・ディレクターでもある坂本公成さんとパートナーの森裕子さんが講師を担当したビギナークラスでは、身体による対話を、

進化の過程を踏むような(?)ワークで体験出来ました。では、どんなことが“身体による対話”だと感じたのかをレポートしてみようと思います。

 

 公成さんのお話では「Bodyloge」は、「身体でおしゃべりすること」 という説明がありました。参加者ははじめに 円座となり、隣の人の足をモミモミしながら(笑)、

自分の呼んでほしい名前や、その日の体調、出身地などを順々に話していきます。例えば「亀田恵子といいます。すこぶる元気です! 出身地は大阪府。カメちゃんって

呼んで下さい」など言います。すると、円座になった参加者が「カメちゃん!」と大きな声で呼ぶ。これがくり返し行われるのですが、段々とリズミカルになっていきます。

対話ってリズムでもありますよね。誰かが話し、自分が話す。それは言葉の往復であり、リズムを生み出す。このワークではそんなリズム感を追体験していたように思います。

 次のワークでは、まるで生き物の進化の道筋をたどるように参加者各自が自分の身体の状態を体験していきました。先ずはフロアに横になってゴロゴロし、床と親しむ。

“水が入った袋が転がるように”動くのはアメーバー。そこから手の平や足の裏で床を押して少し高いポジションをキープして動くのはトカゲ。さらに高い位置になると

ネコの法則(笑)で動く。四つん這いでフロアを歩き回り、ネコ同士くっついたり通り過ぎたり。そのうちヒザを持ち上げてピューマの動きに。四つん這いの位置から

お腹を天井に向けて逆四つん這いの姿勢を試したら、今度は床から手を離してゴリラ経由でヒトへと進化。おお、いよいよ哺乳類(進化の頂点)かと思っていたら、

最終的な動きは“木”になっていました。大地にしっかり足をつけ、両腕を空に伸びる枝のようにそよがせる……いろいろな動きを試しながら、さまざまな身体の状態を

参加者それぞれが体感していた様子。これこそ「Bodylouge」なのかも知れません。他者と呼応するリズムが対話なら、自分自身の身体から届く感覚を受け止め、

アクションへと昇華するのも対話。

 

 ワークはこの後も続いていきましたが、それぞれのワークをトータルで見つめ直すと、“さまざまな身体の在りようを体感し、自分で選択できること=自由さ”を

学んだのだと思いました。普段、私たちは自分の身体の状態にさほど敏感ではないかも知れません。慣れ親しんでいるのは“疲れたな”“お腹空いたな”“眠いよー”

くらいでしょうか。でも、身体はもっといろんなことを感じ、私たちに語りかけている。自分の身体がどんなことを感じているのかを探るとき、もしかしたら、

他者との対話にも深く注意を向けることが可能になるかも知れませんね。“はじめに、身体ありき”。身体の発する言葉に、もっと目を向けてみたくなりました。

 

坂本 公成(日本/京都)

KOSEI SAKAMOTO(Japan/Kyoto)

ダンスカンパニーMonochrome Circus主宰。リヨン・ビエンナーレ(2000)、ベイツ・ダンス・フェスティバル(2002)、香港芸術節(2005)、フェスティバル・ドートンヌ(2009)、別府現代芸術祭「混浴温泉世界」(2009、2015)、瀬戸内国際芸術祭(2010)、鳥の演劇祭(2012)など、17カ国で作品を発表。「身体と身体との対話」というテーマからコンタクト・インプロヴィゼーションの普及や開発に興味を持ち、更に空間、コミュニティー、建築とその射程を広げている。平成19年度京都市芸術新人賞受賞。現在、嵯峨美術大学、天理医療大学非常勤講師

森 裕子(日本/京都)

YUKO MORI(Japan/Kyoto)

ダンサー・振付家。1996年よりMonochrome Circus のメンバーとして、上演300回を越える『収穫祭』プロジェクトや、『掌編ダンス集』『直島劇場』『TROPE』『HAIGAFURU』など、カンパニーの主要作品に出演。小柄で中性的な身体、そして機敏な動きが魅力。指導者としても水戸芸術館ACM劇場、北九州芸術劇場などの劇場や、TOYOTAなどの研修、生涯大学など幅広い層に各地でコンタクト・インプロヴィゼーションや「身体への気づき」のワークシッョプを多数行う。踊ることの根源的な「楽しさ」を伝えたいと願っている。

亀田恵子

大阪府出身。2005年、日本ダンス評論賞で第1席を受賞したことをきっかけにダンス、アートに関する評論活動をスタート。

会社員を続けながら、個性と創造力とで人生を渡り切るべく奮闘中。

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