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【暑い夏18】抒景 アビゲイル イェーガー

2018年06月25日

〈A-3:アビゲイル・イェーガー〉ワークショップレポート

会場に入ると隅っこにチーター、いや大きなネコがゴロゴロしてる、と思ったらそれがアビィさんだ。

彼女のワークには、踊りながらの意識に脱力する際かかる負荷を低減するためだったり、いちばん必要でありいちばん邪魔である、体内に働く意識作用を有効利用するためのタクティクスというかプレパレーションが溢れている。

はじめにみなで水風船をもてあそぶ。

水風船の性質に各自からだのイメージを重ねることで、動きを調節する意識をフレーバリングというかグリスアップする感じなんだけど、それを見ていて気づいた。

床にベタッとおいた水風船は、1㎜ずつひっぱりあげるとその1㎜ごとの層にそなわった事情による微動を発現させるけど、転がすと解放される表層ちかくに潜んでた事情が中心位置までつたわらず、次々隣りの帯域に移っていく。

ダンスにおいて動くってことは、体内で閉じ込められて平均化されてる状態から、からだの各部位特有の事情が解凍されるみたいなものだと思えてくる。

また、からだの各部位ごとひとつひとつ接してる床の印象をカベのように見たてる、つまり翻案すると、それは自重が与えている抵抗感を下敷きにのっけてるようにほんの少しアクセレレートして感じてみるみたいな指摘があってピンときた。

仰むけに寝て、膝を曲げ床に足の裏を着け、手のひらも腰から離した位置でぺったり床に着けてるとき、

重力相さえ放擲(ほうちゃく)して、床への意識を一挙にそのかみくだかれる共時的属性を(時間的空間的延長の境域がふるい落とされた)”質料”にまで退行かけて、からだを脱力することにおいて世界との一体化をもたらす意識プロセスをひっつめようとしてるんだなて感じた。

で、いつだったか人に脱力をうながされたとき、自分の重みの支点になってる相手の手や肘の裏を忌避して、持たれてる部分以外のところで脱力しようとすると上手くいかず、素直に持たれてる部分で脱力しようとすると上手くいったのはなぜか答え合わせできた。

各部分の作業ごと、個別にそのエリアから派生する部分もよけいにふくんでた脱力の総和が、時間がたつにともなってあたかも、脱力する者のなかに利息となって漸次充実していくみたいなことだったんだ。

そして個人的にトクしたことには、途中ビジターのチョン ヨンドゥさんが、おもむろに足を超伝導のように踏みこむ場面に遭遇できたことがラッキーだったのだった。

 

アビゲイル・イェーガー(アメリカ / ノースキャロライナ)

ABIGAIL YAGER(USA/North Carolina)

アビーの小柄で知的な雰囲気とウィットに富んだムーヴメントには誰もが魅了される。1995年~2002年トリシャ・ブラウン・ダンス・カンパニー(TBDC)にてダンサーと音楽アシスタントを務める。また、トリシャ作品の振付・再構成をリヨン・オペラ・バレエなどの国際的なカンパニーで務める他、アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケルの主宰するP.A.R.T.S.(ベルギー)や、アメリカンダンスフェスティバルなど、名だたるアカデミーで同様のプロジェクトをディレクションしてきた。また、韓国国立芸術大学、フランス国立振付センター(CCN)での指導など、ワールドワイドに活躍している。現在ノースキャロライナ芸術大学(UNCSA)で教鞭をとる。

森 出(モリ イヅル)

ダンスミニマリスト

 

 

 

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