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【暑い夏15】 E「うごく、うごく、うごく、うごく」

2015年07月9日

 ぢょんさんのワークは、動く動く動く動く。
この場所の空間的、時間的感覚を再認識する。
人との関係性、自分の体のひとつひとつの動き。
それらを感じていく。

 さらに、動く動く動く動く。
その中で自分の体がどのような構造になっているのか、
どのように力がかかっているのか、
構造的、感覚的に意識できるようになる。

 さらにさらに、動く動く動く動く。
振り付けに従って。イメージに従って。
棚から胡椒をとったり、
スパイになってトラップを掻い潜ったり。

 と、このあたりで
「うああああああ~~~~~~~」
ぼくの頭の中は、いっぱいいっぱいだっ。

 振り付けが次から次へと増えていく。
右?左?
前へ?後ろへ?
どっちに回転する?
どのくらいのタイミング?
どのくらいの空間的“間”で?

 とりとめもない疑問たちが
頭の中を駆けめぐる。
ちょっと泣きそうになる。
うちひしがれる。
汗まみれになりながら。

 ふと、周りを見る。
同じようにうわーってなっている人もいる。
でも、みんな一生懸命。
他の人の振りを見ながら、
ジャンプしたりクルクルまわったり。
泣いたり叫んだり。
もうクラスは動物園。

ぢょんさんの言葉。

 「イメージを持って動く。そしたら体が勝手についてくるよ。
体は僕らが思っているより賢いから。」

 この言葉がぼくの心に、そして体に、すっと浸透する。

 そうか。イメージをとりあえず頭に叩き込もう。
そして、動くことだけに集中しよう!
そしてそして、もう楽しんじゃえ!

 そんな風に考え始めると
本当に楽しくなってきてしまって、
なぜだか、手足がどんどん軽くなってた。
体がもっともっと動きたいって
言っているみたいに。

 不思議な感覚になる。

 飛び方を覚えた小鳥さんみたいに
発情期を迎えたおさるさんみたいに
コーラの瓶を見つけた原始人みたいに
みんなとびきりの笑顔だ。

 言葉では表現できない“何か”が起きた瞬間だった。
この感覚を忘れない。

 ぢょんさんのワークは、動く笑う動く笑う。

撮影:下野優希
撮影:下野優希

prof_jun森井淳 (日本/大阪)JUN MORII ラバン・センターにてコンテンポラリーダンスを 学 び、ヨーロッパ 各 国 にて公 演&ワークショップ を行う。帰国後、演出・振付の相原マユコらと共 に j.a.m.Dance Theatreを結成。国内外で様々な 公演&ワークショップを行う。また Monochrome Circus やじゅんじゅん science など様々な振付家・ ダンサーと活動する傍ら関西を中心にコンテンポ ラリーダンスクラスやワークショップの指導・振付 にも積極的に取り組む。近畿大学文芸学部非常 勤講師。(KIDFホームページより)

IMG_1905すやまあつし(すやま・あつし)
好奇心旺盛な小心者。動物占いは子鹿。

サーフィンとスケボーとピアノが好き。

ライターの端くれ。

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